お花見の季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。メールマガジンvol.4をお届けします!

目次
1.一刻も早く袴田巌さんの再審無罪判決を!
2.3月3日シンポジウム&今西事件最新情報
3.IPJ活動報告
4.学生ボランティアの活動
5.IPJ法人化への道
6.編集後記

一刻も早く袴田巌さんの再審無罪判決を!


 2023年3月13日に東京高裁は袴田巌さんの事件について再審開始を維持する決定を言い渡しました。3月20日が特別抗告の期限でしたが、東京高等検察庁は特別抗告を断念し、静岡地裁の再審開始決定(2014年3月27日)が確定しました。
 IPJは、特別抗告を阻止するために、3月16日に 「一刻も早く袴田巌さんの再審公判を開くことを求める声明――東京高等裁判所2023年3月13日の決定を受けて――」を公表しました。
 また、IPJメンバーの伊藤睦・斎藤司・笹倉香奈・徳永光・渕野貴生と、その他9名の刑事法研究者が呼びかけ人となり、3月18日に 「袴田事件東京高裁決定に対し特別抗告を行わないことを求める刑事法研究者有志の声明」を公表しました。特別抗告の理論的な問題点を指摘したこの声明には全国の刑事法研究者108名が賛同しました(呼びかけ人と合わせて122名)。
 3月21日の朝日新聞朝刊・社説は、次のように指摘しています。「検察が特別抗告を断念した背景には、袴田さんが陥った理不尽を見過ごすまいとする、多くの声があった。120人以上の刑事法研究者が、特別抗告に伴う法的問題を指摘し、すみやかに再審に移行するよう検察に求めた。同様の趣旨のネット署名も広がっていた。」
 今回、特別抗告を断念するよう求める声は、いたるところから上がりました。もちろん、そもそも特別抗告の理由がないこともありますが、このような声が一斉に上がったことが検察の判断に影響を与えたのでしょう。えん罪救済のために、これからもあきらめずに声をあげ続けなければなりません。
 袴田さんの事件でも再び明らかになった再審制度の不備についても是正するための法改正をする必要があります。そして、まずは一刻も早く袴田さんの再審公判を開始し、無罪判決が言い渡されるよう、IPJとIPJのメンバ―も応援していきます。

東京高裁司法記者クラブで開かれた袴田弁護団会見の様子 →  こちら

2023年3月13日、東京高裁前で再審開始維持の決定を喜ぶ弁護団と支援者ら。写真提供は青木惠子さん(東住吉事件えん罪被害者)

IPJサポーター募集中!
 えん罪は過去のものではありません。支援を受けることができずに苦しんでいる方が、まだまだ多くいらっしゃいます。IPJは、えん罪被害者が適切な支援につながるための窓口となることを目指して活動しています。

 IPJでは、より多くのえん罪被害者を継続的に救済していくために 「IPJサポーター」を募集しております。
 えん罪救済のための活動には、専門家による鑑定費用や交通費、印刷代、通信費などが日々発生しています。そこで、毎月1,000~10,000円の定額・継続寄付によって私たちの活動を支えていただけませんでしょうか?

 単発のご寄付も大変にありがたいです。ホームページ 「寄付をする」下部にある「Syncable(シンカブル)」アイコンをクリックして下さい。

 私たちと一緒に、えん罪救済に向けた大きなムーブメントに参加していただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします!

3月3日シンポジウム&今西事件最新情報
 2023年3月3日に今西事件を取り上げたシンポジウムを開催しました。対面とオンライン合わせて約160名の皆様にご参加いただきました。 開催レポートと、シンポジウム中に上映した 海外からのメッセージをHPで公開していますので、ぜひご覧ください。
今回も大活躍だった学生ボランティアからの感想をいくつかご紹介します。


 私は今回のイベントを通して初めて今西さんの事件の詳細を知りました。また、初めての大きな活動だったためパネルディスカッションの司会を務める際は不安もありましたが、様々な方々のご協力を得てやり遂げることができました。パネルディスカッションでの質問案を考える際、どのようにすれば参加者の方々に興味を持ってもらえるのか、理解しやすいのか試行錯誤することで様々な視点で考える力がついたのではないかと思います。イベントを通して、冤罪が様々な人のミスの積み重ねで起きること、決して他人事ではないと実感しました。また、証拠が不明確であるのに有罪を主張されてしまうことがあるという事実を知り恐ろしくなりました。SBS理論など貴重なお話を通して学べたことは自身にとって有益な経験になりました。今後も活動を通して少しでも多くの人に冤罪に関心を持ってもらえるよう頑張っていきたいです。(京都女子大学2回生・森さくら)
 
 私は今回、オンライン視聴者として参加させていただきました。私は今西事件をIPJに入ってから知り、ニュースを読み、拘置所に面会に行き、事件についての理解を深めました。そして、今回のシンポジウムを通し、今西事件について、再度理解を深めることができました。証拠が不明瞭な場合にも、有罪と判断されてしまう可能性があることに、他人事には考えられない、と感じました。
 今回学んだことを踏まえて、今後も中学・高校への講演会やシンポジウムを実施していきたいと思います。
 また、今西さんのお母様のお話や、イギリスのウェイニー・スクワイア先生からのメッセージを聞き、えん罪は1人で解決するものでなく、多くの人が関心を持ち、みんなで解決する必要があることを実感しました。
 今西さんと桜を見られる日をこころから望んでいます。(立命館大学3年生・武田七海)
 
 私は1年ほど前に今西貴大さんの事件を知り、強い衝撃を受けました。その後、甲南大学の学生ボランティアで事件について勉強し、大阪拘置所で今西さんと面会したり、甲南高校で事件について高校生に伝えるための授業を行なったりしました。
 これらの経験を活かし、今回パネルディスカッションの司会を担当しました。弁護団の先生方からは今まで知らなかった事実も語られ、第一審当時の今西さんの胸中をリアルに感じました。
 学生である自分にできることは何だろうか。今西さんのお母様が涙ながらに無実を訴えていらっしゃる姿を見て、やはり一人でも多くの人に事件について伝え、知っていただくことだという答えが出ました。
 今西さんの控訴審はこの春から始まります。今西さんへの疑いが一日でも早く晴れることを強く願っています。(甲南大学2回生・森 健太)
 
 IPJに所属して初めて知った事件が今西事件でした。その後、今西事件について知るにつれて事件の複雑さを実感するようになりました。友人との会話の中で、えん罪事件が話題にあがることがありますが、今西事件の説明は難しいです。検察側の主張に矛盾があるということは、事件の詳細を理解すれば明白です。しかし、今西事件を知らない人に興味を持ってもらい、更に医学的な内容を理解してもらうというところまで持っていくということの難しさ、また、えん罪事件そのものの複雑さを再認識しました。
 日本ではえん罪というのはどこかフィクションのように捉えられているように思います。今西事件も社会の多くの人にとってはいわゆる他人事かもしれません。しかし、「自分の子供が突然死して、自分が犯人だと疑われた」と言い換えれば、一気に身近に感じる人が増えるのではないのでしょうか。
 今のえん罪問題の現状では、明日、自分や、自分の大切な人が巻き込まれてもおかしくありません。えん罪事件が身近にあること、そしてこの課題の背景に多くの要因があることを社会に発信できるように頑張っていきたいと改めて思ったイベントでした。(龍谷大学3年生・三須愛子)


「今西事件」最新情報
 今西さんにはシンポジウム後に、対面参加者からのメッセージをお届けしました。会場では、今西事件を分かりやすく説明する三つ折りリーフレットも配布しました。ご希望の方は、 IPJ事務局までお知らせください。

 イノセンス・プロジェクト・ジャパン運営委員で「 今西事件」弁護団の湯浅彩香です。
 2023年3月3日、IPJは今西事件を題材に、シンポジウム「それでも冤罪はなくならない~連続無罪判決後、「揺さぶられっこ症候群(SBS)」問題は終わったか?」を共催いたしました。IPJの学生ボランティアの方々がパネルディスカッションの司会進行や会場の設営をしてくださり、大盛況でした。
 シンポジウムの開催を受けて、今西貴大さんよりコメントをいただきましたので、以下に掲載させていただきます。
「シンポジウムを開催してくださり、ありがとうございました。たくさんの人が僕の無実を信じてくれて、支援してくださることがとてもうれしいです。」

今西貴大さんから、シンポジウム後にお手紙が届きました → 今西さんのお手紙

ホームページでのお知らせ → 「2023年2月24日 第4回打合せ期日が開催されました」
 
今西貴大さんを支援する会:お申込みは こちら(※IPJとは別の任意団体です。)

IPJ活動報告
(1)新規支援申込数……2月8件、3月7件(3/24現在)
(2)審査中の事件……21件
(3)支援中の事件……4件

 IPJはより充実した審査を行うため、チーム制による審査を導入しました。先日は新体制後初の審査会議が行われ、早速4件の審査を行いました。
 新体制のもと、どんどん審査を進めていきたいと思います。

学生ボランティアの活動
 各大学では、春休みを利用して学びを深めつつ、新入生の勧誘準備を進めています。
 甲南大学からは裁判傍聴レポートが届きました。2月に大阪地方裁判所へ行き、裁判傍聴を行いました。定期的に開催している裁判傍聴ですが、今回は初めて裁判傍聴に行った1回生からの感想を紹介します(続きは こちらから)。
 龍谷大学では、学生ボランティアの活動が大学広報誌で4ページに渡って取り上げられました( 龍谷大学広報誌「龍谷」No.95)。

IPJ法人化への道

 こんにちは!イノセンス・プロジェクト・ジャパン運営委員の西愛礼です。
 法人設立の予定日が4月3日になりました!既に定款の認証が完了し、あとは法人の設立登記をするだけとなりました。我々イノセンス・プロジェクト・ジャパンは、昨年多くの方から頂いた寄付をもとに"一般財団法人"になります!これからも"一般財団法人イノセンス・プロジェクト・ジャパン"をどうぞよろしくお願いします!

編集後記
3月3日、初めてIPJのシンポジウムに参加させていただきました。登壇された先生方の道理にかなった解説をお聴きし、SBSの発生原因に誤った判断が多いということ、そして今西事件での検察の判断があまりにも不条理であることに憤りを感じました。昨年秋より縁あってIPJをお手伝いすることになりましたが、えん罪を無くしていくことと、これ以上こういった悲劇が発生しない社会にしていくことが大切だという強い思いが沸き起こりました。これからも積極的に協力していきたいと思います。(IPJ事務局 橋本やすひろ)
・IPJでは広報活動を手伝ってくださるボランティアを募集しています! 動画や音声の編集、ライティング、デザインができる方など、IPJにお力を貸していただける方はぜひ ご連絡ください。

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