★ぴあサポメルマガ3月号★ コロナ禍の新たな大学生活~学部1年生が2020年度を振り返る その壱~
2021/03/19 (Fri) 13:31
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コロナ禍の新たな大学生活
~学部1年生が2020年度を振り返る その壱~
―――――★ぴあサポメルマガ3月号★
コロナ禍に見舞われた2020年度もまもなく終わり、4月から新しい学期が始まります。2020年の春に新型コロナウイルスの感染が拡大するにあたって、東大はオンライン授業を行うことを決め、厳しい中にあっても知の営みを止めずに歩んできました。一方で、対面授業はほとんど行われず、サークル活動も禁止され、社会的な活動を行うことが難しくなっていく中で、孤立を深めていった学生も少なくありませんでした。
今回から数回にかけて、そんなコロナ禍で東大に入学した新入生(2020年度入学の学部1年生)がこの1年を振り返るエッセイ記事を配信します。彼らがどんなことを考え、どんな生活をおくってきたのか、その一端をお伝えできれば幸いです。
[パート1:人付き合いの1年間編]
■目次■
1.合格発表のゴタゴタとコミュニティへの諦め
2.全面オンラインのSセメスターと大学での孤立
3.対面授業のAセメスターとストレスフリーな生活
4.これからの1年とピアサポートルームの繋がり
5.おわりに--支え合いのキャンパスを目指して
【著者紹介】
文科2類フランス語選択の1年生
サークルは文化系のインカレサークルに所属
◇◆◇―――――――――
1.合格発表のゴタゴタとコミュニティへの諦め
―――――――――◆◇◆
入学前から私の大学生活は波乱続きであった。自分のこれからの人生の大きな転換点になる大学入試は、試験こそなんら問題なかったものの、合格発表はネットだけになった。本郷キャンパスに行って異様な雰囲気の中で喜びを感じることはできず、3月10日、私は静かに家のタブレットで合格発表を見た。
なんとか合格していた私はさっそく送られてきた書類やインターネット上の書き込みなどを参考に情報収集を行うことにした。幸い私の知り合いも多く東大に入学していたため、不安なく第二外国語を決め、準備を進めた。
しかし3月も後半になる中で、状況が変化する。新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、入学前のオリエンテーションが軒並み中止になってしまったのだった。「オリ合宿」や「テント列」と呼ばれる恒例行事が行われなくなったため、クラスメイトと交流したりサークル選びを行うのは、主にオンライン上で、ということになった。
だが、これが問題だったのである。まずはクラス内の交流だが、Zoomの特性上、大人数が集まるとその中で発言するのはクラスの中心人物(別の言い方をすればカースト上位)ばかりになってしまうのである。もともと交友関係があまりうまく築けない私にとっては、Zoomでのクラス会はただのラジオのようであった。自分から話すこともできず、ただ数人が楽しんでいる様子を側から見ているだけ。そんな状態が続いているうちに、私は参加する意味を見出せなくなり、同じクラスの人と仲良くするのを諦めた。
一方のサークルである。これも困難に見舞われた。ただでさえ数が多く、高校時代とは異なった集まりであるというのに、得られる情報は主に「データ」だけだったのである。オリエンテーション委員会から配布された資料に書かれている、所属人数や活動頻度などを眺めることしかできず、それぞれの団体がどんな雰囲気なのか、それを知ることは容易ではなかった。もちろん、いろんな媒体でサークルは情報発信をしていた。上のクラスから宣伝もあった。だが、それも触れられる団体の数に数には限界があるし、雰囲気を知るには十分でなかった。そもそもコロナ禍で活動があまりできない中でサークルに所属して、十分に活動できるのだろうか、という疑問もあった。
結局のところ、その後クラス内の交流はリアルに会ったりする中で少し改善し、サークルには所属することにはなったのだが、自分の世界を広げるのは難しく、交友関係は狭くなってしまった。
◇◆◇―――――――――
2.全面オンラインのSセメスターと大学での孤立
―――――――――◆◇◆
Sセメスターの授業は全てオンラインであった。1年生のSセメスターは履修の自由度がそれほど高くないため、クラスメイトと同じ授業を履修することも多く、その点では安心できた。しかしそうは言っても、大学の授業は高校までの授業と大きく異なる。
授業でノートを取るべきなのか、それともレジュメがあれば十分なのか。どれほど勉強すれば適切なのか。成績はどのようにつくのか。わからないことが多くあるにもかかわらず、そうしたことを相談できる場所がなかった。前に述べたように、特に私は大学での交友関係を築くことができなかったのだが、加えて、高校時代の友人ともろくに連絡を取ることはなく、ただ1人で大学生活に関する情報を収集し、分析し、実行していたのである。
結局そうした状態は、Sセメスターの終了まで続いた。後から聞けば、この間に適したバイトを見つけていたり、サークル活動に打ち込んで楽しい日々をおくったりしていた友人も多くいたようである。私はまたもコミュニティから離れてしまっていた。
振り返ってみると、結局私は誰ともつながることなく、大学内で孤立していたのであった。自分から繋がりを拒んだ部分もある。だが、交友関係は自分の知らないところで着々と組み上がっていたのであり、私がそれに気づく頃にはもう遅かった。
◇◆◇―――――――――
3.対面授業のAセメスターとストレスフリーな生活
―――――――――◆◇◆
Aセメスターから対面授業が開始された。とは言っても私の場合、時間割の関係でキャンパスに行く機会は本当に少なく、2週間に1度、というペースであった(このため、授業のために大学に行ったのは6回のみだったと記憶している)。
対面授業は第二外国語の授業と身体運動の授業だけだったのだが、ようやくの対面授業はよかった。交流は少ないにしろクラスメイトと話す機会を持つことができ、自分の学習状態を見直すことができたほか、単純に授業はオンラインで聞き流すより断然面白かった。
学習面では良い状態へと向かったとはいえ、交友関係の変化は残念ながらあまりなかった。転校生が新たな学校で苦労するのと同じである。もうすでにクラス内にグループが出来上がっており、私に与えられた選択肢は2つしかなかった(と考えていた)。すなわち、(1)交友関係を捨てて自分の道をいく、(2)グループに混ざれるよう他人に行動を合わせる、の2つである。私は(1)を選んだ。(2)の友人関係は単純に疲れるうえ、もはや友人関係を新たに築くことには半ば諦めを感じていたからである。
だが外出自粛がはじめに叫ばれてから随分時間も経ち、もはや私は孤立に順応していた。1人でいる方が気が楽であるし自分のやりたいようにできる。そのストレスフリーな生活にどっぷりと浸かるようになっていた私は、友人関係を広げる努力を捨て、自分にとって都合のいいように友人関係を築くようになった。
◇◆◇―――――――――
4.これからの1年とピアサポートルームの繋がり
―――――――――◆◇◆
こんな1年間を歩んできた私ではあるが、それでも繋がりを保ってきた場所の1つはピアサポートルームであった。6月に認定を受けピアサポーターになると、駒場キャンパスの学生をメインの対象にしたイベントの開催などに携わるようになり、今ではVirtual Book Festa の開催など幅広く活動を行っている。
私は典型的なコロナ禍で孤立した学生ではあったが、なるべく今後そうした学生もどこかで他の人とつながるような環境を整備することが大事なのだと感じている。特に2021年度の新入生はコロナ禍で入試を経験し、そしてこれからオンライン授業も多い中で大学生活をスタートするのである。せめて自分なりに満足のいく大学生活になるよう、欲を言えば交友関係も満足のいくような生活をおくって欲しいと、少し早く入学しただけの私はささやかに願っている。
2021年度、私は2年生になり、さらに自由な時間が増える。新型コロナウイルスとの付き合い方もわかってきた今年は、対面でのイベントもさらに増えていくだろう。その中で、自分が満足するような生活を送りながら、それでもやっぱり少し人と交流しながら、道を進んでいきたいと考えている。
◇◆◇―――――――――
5.おわりに--支え合いのキャンパスを目指して
―――――――――◆◇◆
ピアサポートルームは名前の通り、仲間同士で支え合っていくための場所である。コロナ禍の新入生はもちろん、私のような人だけでなく、多様な学生のための場所である。どうかもっとみんなで支え合えるようなキャンパスになりますように。そう願ってこのエッセイの終わりとしたい。
【ピアサポートルームのWebサイト/Twitterの紹介】
活動カレンダーや活動内容が載っています。ぜひアクセス&フォローしてください!
☆Webサイト:http://ut-psr.net/
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【ご意見、ご感想をお待ちしています】
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東京大学相談支援研究開発センターピアサポートルーム(PSR)
[学生の作るWEBサイト] https://ut-psr.net/
[学生Email] mail@utpsr.net
[PSR WEBサイト] https://dcs.adm.u-tokyo.ac.jp/psr/
[PSR Email] dcs-peer.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
[PSR Tel] 080-9410-0093
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コロナ禍の新たな大学生活
~学部1年生が2020年度を振り返る その壱~
―――――★ぴあサポメルマガ3月号★
コロナ禍に見舞われた2020年度もまもなく終わり、4月から新しい学期が始まります。2020年の春に新型コロナウイルスの感染が拡大するにあたって、東大はオンライン授業を行うことを決め、厳しい中にあっても知の営みを止めずに歩んできました。一方で、対面授業はほとんど行われず、サークル活動も禁止され、社会的な活動を行うことが難しくなっていく中で、孤立を深めていった学生も少なくありませんでした。
今回から数回にかけて、そんなコロナ禍で東大に入学した新入生(2020年度入学の学部1年生)がこの1年を振り返るエッセイ記事を配信します。彼らがどんなことを考え、どんな生活をおくってきたのか、その一端をお伝えできれば幸いです。
[パート1:人付き合いの1年間編]
■目次■
1.合格発表のゴタゴタとコミュニティへの諦め
2.全面オンラインのSセメスターと大学での孤立
3.対面授業のAセメスターとストレスフリーな生活
4.これからの1年とピアサポートルームの繋がり
5.おわりに--支え合いのキャンパスを目指して
【著者紹介】
文科2類フランス語選択の1年生
サークルは文化系のインカレサークルに所属
◇◆◇―――――――――
1.合格発表のゴタゴタとコミュニティへの諦め
―――――――――◆◇◆
入学前から私の大学生活は波乱続きであった。自分のこれからの人生の大きな転換点になる大学入試は、試験こそなんら問題なかったものの、合格発表はネットだけになった。本郷キャンパスに行って異様な雰囲気の中で喜びを感じることはできず、3月10日、私は静かに家のタブレットで合格発表を見た。
なんとか合格していた私はさっそく送られてきた書類やインターネット上の書き込みなどを参考に情報収集を行うことにした。幸い私の知り合いも多く東大に入学していたため、不安なく第二外国語を決め、準備を進めた。
しかし3月も後半になる中で、状況が変化する。新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、入学前のオリエンテーションが軒並み中止になってしまったのだった。「オリ合宿」や「テント列」と呼ばれる恒例行事が行われなくなったため、クラスメイトと交流したりサークル選びを行うのは、主にオンライン上で、ということになった。
だが、これが問題だったのである。まずはクラス内の交流だが、Zoomの特性上、大人数が集まるとその中で発言するのはクラスの中心人物(別の言い方をすればカースト上位)ばかりになってしまうのである。もともと交友関係があまりうまく築けない私にとっては、Zoomでのクラス会はただのラジオのようであった。自分から話すこともできず、ただ数人が楽しんでいる様子を側から見ているだけ。そんな状態が続いているうちに、私は参加する意味を見出せなくなり、同じクラスの人と仲良くするのを諦めた。
一方のサークルである。これも困難に見舞われた。ただでさえ数が多く、高校時代とは異なった集まりであるというのに、得られる情報は主に「データ」だけだったのである。オリエンテーション委員会から配布された資料に書かれている、所属人数や活動頻度などを眺めることしかできず、それぞれの団体がどんな雰囲気なのか、それを知ることは容易ではなかった。もちろん、いろんな媒体でサークルは情報発信をしていた。上のクラスから宣伝もあった。だが、それも触れられる団体の数に数には限界があるし、雰囲気を知るには十分でなかった。そもそもコロナ禍で活動があまりできない中でサークルに所属して、十分に活動できるのだろうか、という疑問もあった。
結局のところ、その後クラス内の交流はリアルに会ったりする中で少し改善し、サークルには所属することにはなったのだが、自分の世界を広げるのは難しく、交友関係は狭くなってしまった。
◇◆◇―――――――――
2.全面オンラインのSセメスターと大学での孤立
―――――――――◆◇◆
Sセメスターの授業は全てオンラインであった。1年生のSセメスターは履修の自由度がそれほど高くないため、クラスメイトと同じ授業を履修することも多く、その点では安心できた。しかしそうは言っても、大学の授業は高校までの授業と大きく異なる。
授業でノートを取るべきなのか、それともレジュメがあれば十分なのか。どれほど勉強すれば適切なのか。成績はどのようにつくのか。わからないことが多くあるにもかかわらず、そうしたことを相談できる場所がなかった。前に述べたように、特に私は大学での交友関係を築くことができなかったのだが、加えて、高校時代の友人ともろくに連絡を取ることはなく、ただ1人で大学生活に関する情報を収集し、分析し、実行していたのである。
結局そうした状態は、Sセメスターの終了まで続いた。後から聞けば、この間に適したバイトを見つけていたり、サークル活動に打ち込んで楽しい日々をおくったりしていた友人も多くいたようである。私はまたもコミュニティから離れてしまっていた。
振り返ってみると、結局私は誰ともつながることなく、大学内で孤立していたのであった。自分から繋がりを拒んだ部分もある。だが、交友関係は自分の知らないところで着々と組み上がっていたのであり、私がそれに気づく頃にはもう遅かった。
◇◆◇―――――――――
3.対面授業のAセメスターとストレスフリーな生活
―――――――――◆◇◆
Aセメスターから対面授業が開始された。とは言っても私の場合、時間割の関係でキャンパスに行く機会は本当に少なく、2週間に1度、というペースであった(このため、授業のために大学に行ったのは6回のみだったと記憶している)。
対面授業は第二外国語の授業と身体運動の授業だけだったのだが、ようやくの対面授業はよかった。交流は少ないにしろクラスメイトと話す機会を持つことができ、自分の学習状態を見直すことができたほか、単純に授業はオンラインで聞き流すより断然面白かった。
学習面では良い状態へと向かったとはいえ、交友関係の変化は残念ながらあまりなかった。転校生が新たな学校で苦労するのと同じである。もうすでにクラス内にグループが出来上がっており、私に与えられた選択肢は2つしかなかった(と考えていた)。すなわち、(1)交友関係を捨てて自分の道をいく、(2)グループに混ざれるよう他人に行動を合わせる、の2つである。私は(1)を選んだ。(2)の友人関係は単純に疲れるうえ、もはや友人関係を新たに築くことには半ば諦めを感じていたからである。
だが外出自粛がはじめに叫ばれてから随分時間も経ち、もはや私は孤立に順応していた。1人でいる方が気が楽であるし自分のやりたいようにできる。そのストレスフリーな生活にどっぷりと浸かるようになっていた私は、友人関係を広げる努力を捨て、自分にとって都合のいいように友人関係を築くようになった。
◇◆◇―――――――――
4.これからの1年とピアサポートルームの繋がり
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こんな1年間を歩んできた私ではあるが、それでも繋がりを保ってきた場所の1つはピアサポートルームであった。6月に認定を受けピアサポーターになると、駒場キャンパスの学生をメインの対象にしたイベントの開催などに携わるようになり、今ではVirtual Book Festa の開催など幅広く活動を行っている。
私は典型的なコロナ禍で孤立した学生ではあったが、なるべく今後そうした学生もどこかで他の人とつながるような環境を整備することが大事なのだと感じている。特に2021年度の新入生はコロナ禍で入試を経験し、そしてこれからオンライン授業も多い中で大学生活をスタートするのである。せめて自分なりに満足のいく大学生活になるよう、欲を言えば交友関係も満足のいくような生活をおくって欲しいと、少し早く入学しただけの私はささやかに願っている。
2021年度、私は2年生になり、さらに自由な時間が増える。新型コロナウイルスとの付き合い方もわかってきた今年は、対面でのイベントもさらに増えていくだろう。その中で、自分が満足するような生活を送りながら、それでもやっぱり少し人と交流しながら、道を進んでいきたいと考えている。
◇◆◇―――――――――
5.おわりに--支え合いのキャンパスを目指して
―――――――――◆◇◆
ピアサポートルームは名前の通り、仲間同士で支え合っていくための場所である。コロナ禍の新入生はもちろん、私のような人だけでなく、多様な学生のための場所である。どうかもっとみんなで支え合えるようなキャンパスになりますように。そう願ってこのエッセイの終わりとしたい。
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