★ぴあサポメルマガ3月号★学部1年生ピアサポーターが振り返る2021年度
2022/03/14 (Mon) 15:50
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学部1年生ピアサポーターが振り返る2021年度
―――――★ぴあサポメルマガ3月号★
こんにちは。段々と寒さも和らぎ、春本番が近づいてきました。
春といえばみなさんは何を思い浮かべますか? 私は「変化」という言葉が真っ先に出てきます。1年前、期待と不安を胸に高校を卒業し、東大に入学した記憶が今でも鮮明に残っています。
さて、今回のメルマガは、そんな学部1年生のピアサポーターである私が、主観たっぷりでこの1年間を振り返ります。みなさんの学部1年生の頃と比べていただくのも良し、他人の日記を覗き見するような背徳感に浸りながら読むも良し。どうぞ最後までお付き合いください。
■目次■
1.初々しい東大生期(4月~7月)
2.課外活動も頑張る期(8月~11月)
3.がむしゃらに勉強期(12月~3月)
4.最後に
◇◆◇―――――――――
1.初々しい東大生期(4月~7月)
―――――――――◆◇◆
4月
・世の中の出来事:3度目の緊急事態宣言
・東大の出来事:入学式、新歓
3月中に諸手続きや健康診断があり、入学式よりも先に始まった授業。右も左も分からぬまま組んだ履修で授業に臨むも初週は全てオンラインで、“大学生になった”というより“高校生ではなくなった”という実感が強かった。
一方で、科類と第二外国語によって割り振られるクラスがあり、新2年生の同じクラス番号の人たち、通称「上クラ」が新入生の面倒をみる伝統に驚いた。新入生同士の仲を深めるオリエンテーションからクラス内の委員の決定、そして履修の組み方まで、上クラが手はずを整えてくれている。上級生が下級生の世話をするというのは、実に小学校ぶりのことであった。
5月
・世の中の出来事:緊急事態宣言延長
・東大の出来事:五月祭延期
大学の授業にも慣れてきた頃、第二外国語の授業が隔週対面になった。授業の前に集まったクラスメイト同士で、その日の小テスト範囲である語形変化の問題を出し合ったり、課題であった翻訳の疑問点を議論したりしている風景は、高校、ひいては中学校を想起させるものであった。オンライン授業の是非はさまざまなところで議論されているが、先生方のボタン一つで授業時間以外の学びを強制的に遮断してしまうシステムには問題があるように感じられた。
五月祭は、初めての学園祭である上にオンラインという制約があり、及び腰になりつつもクラスで準備をしていた。直前に発表された延期は残念な知らせではあったが、企画のタイプが準備していたものを公開するだけのものだったこと、更には学園祭を経験したことがないこともあり、突然延期となった実感があまり湧かなかったのも事実である。
6月
・世の中の出来事:緊急事態宣言解除
・東大の出来事:ターム科目試験、セメスター科目中間試験
第二外国語中間試験があった。東京大学の学生という身分になってからは初めての試験である。定期試験は入試のように順位をつけるのでなく学習状況を確認する意味合いが強いものであるから、そこまでの難易度にはならないと冷静に考えれば分かるのだが、要求されるレベル感が掴めずに四苦八苦していた。第二外国語を学び始めて2ヶ月が経とうかというところにもかかわらず、試験問題の半分はその言語での作文とあり、必死で勉強した。
緊急事態宣言が解除されたということもあり、中間レポートのために他学部の図書館に行ったり、目星をつけていた美術館に行ったり、好きな作家のサイン会に行ったりした。大学生活のリズムも掴め、徐々に大学外に目を向ける余裕が出てきた。
7月
・世の中の出来事:東京五輪開幕、4度目の緊急事態宣言
・東大の出来事:試験
賛否両論ある中で東京五輪が開幕した。電車でちらほらボランティアの制服を身に纏った人を見かけた。誘致が決まった頃は、大学受験でそれどころではないのだろうなと思っていた東京五輪が、異例の延期で大学生になった後にやってきたものだから変な感じがした。受験生の時に「浪人したら周りが大学生ではしゃぐ中勉強しなきゃいけないんだぞ」という冗談半分の脅し文句を聞かされていた私は、紆余曲折あって結局テレビ越しにしか五輪であることを感じられず、加えて大学の試験期間が被っていたことで必死に机にかじり付いており、なんとも皮肉なものだと思った。
◇◆◇―――――――――
2.課外活動も頑張る期(8月~11月)
―――――――――◆◇◆
8月
・世の中の出来事:五輪閉幕、パラリンピック開幕
・東大の出来事:夏休み
今までにない長さの夏休みが始まった。8月の最終週から2学期が始まる小学校に通っていた私は、中学に進学して8月いっぱい休みであることに喜んでいたのに、2ヶ月も休みがあると何をしていいか分からず不安になった。
とは言いつつ、確かに8月はまだSセメスターの延長のようであった。学部1年生の必修科目である初年次ゼミナール、通称「初ゼミ」のレポートの提出が8月の中頃であったし、集中講義と銘打って授業もまだいくつか残っていた。
そして私はこの間、1週間下がらない高熱に見舞われた。教員にレポートの締め切り延長をお願いするメールを送る際にはかなりプライドが邪魔をしたという裏話もあるのだが、何よりコロナ感染への恐怖につきまとわれた。元々不要不急の人との接触は避けていたし、状況からして濃厚接触の可能性もなかったのだが、感染が爆発している時期で万が一のことがあった。よりにもよってお盆期間中だったこともあり、発熱相談センターに電話しても一向に繋がらず、やっと繋がって教わった病院に電話をかけても受診できるのは早くて数日後ということで、連日報道されている医療の逼迫が現前した不安はえも言われぬものであった。結局陰性ではあったものの、大変な中でも丁寧に接してくださった保健所・医療従事者の優しさに救われ、頭が上がらない思いである。
9月
・世の中の出来事:緊急事態宣言延長
・東大の出来事:夏休み、成績公開、五月祭
Sセメスターの授業と課題を全て乗り越え、ようやく「休み」に入った。そして、Sセメスターの成績が発表された。東大生活の基本となるクールをひとまず1回経験したのではないか。入学当初抱いていた東大への畏れは、気づけば下火になっていた。
春に応募して選考に通っていた大学のプログラムの一環で、多様な立場で活躍されている方々に聞き取り調査を行った。地域から提示された課題に対して解決への道筋を提案すべく活動していたが、全てオンラインでの調査というコロナ禍ならではの困難があった。しかし高校生1人では中々できない規模の活動に、ようやく大学生としての自覚が出てきた。
更に、入学から約半年経って大学生活も軌道に乗ってきたというところで、休み期間中にアルバイトを始めた。また、日本にとどまらず様々な場所で大学生活を送る旧友とオンラインで近況報告をしたり、一人で博物館・美術館に足を運んだりと、「新しい生活様式」らしい夏休みだった。
10月
・世の中の出来事:岸田内閣発足、衆院選、ノーベル賞発表
・東大の出来事:授業開始
長くもあっという間だった夏休みが終わり、Aセメスターが始まった。Sセメスターの反省を生かして少しコマ数を減らすつもりだったが、時間割表を眺めていたら次から次へと興味が湧いてきてしまい、泣く泣く削ってやっとSセメスターと同じ数に落ち着いた。毎回対面のスポ身(身体運動・健康科学実習)、隔週対面の第二外国語、自分で選択した毎回対面のゼミ1つを除けばまだ全てオンラインだ。
駒場祭の準備も始まった。五月祭は大学にも慣れていない時期であまり積極的には関わらなかったが、駒場祭では複数の団体に所属した。原則オンラインということで、高校の文化祭で培った経験がそのまま役に立つわけではなく、企画段階でかなり頭を悩ませた。
この月に学生証をケースごと紛失し、届出先すら分からず友人の学生証ケースを見せてもらったり、在学証明書を発行して身分を証明すればいいと教わったり、大学サバイバル能力が上がった。無事に発見したが心底焦ったし、何より「カードに紛失時の説明が書いてあっても紛失に気づいた時点で時すでに遅し」という教訓を得、手元に帰ってきたその場で紛失しそうなカード類の注意を写真で記録した。
11月
・世の中の出来事:オミクロン株国内初確認
・東大の出来事:駒場祭
駒場祭が開催された。構内からの配信のためキャンパスに行ったが、祭りの期間中だというのに普段より閑散としているキャンパスはとても不気味だった。
19日には「ほぼ皆既」の部分月食があった。対面授業がある日だったため駒場キャンパスから眺めた。保育所の子供たちが先生に付き添われて出てきており、迎えに来た親御さんとも同じ場所で月を見ていた。曇り空に街の明るさも相まって決して良いとは言えない環境だったが、食の最大が近づくにつれ雲がはけ、歓声が上がった。
◇◆◇―――――――――
3.がむしゃらに勉強期(12月~3月)
―――――――――◆◇◆
12月
・世の中の出来事:日本の民間人初の宇宙旅行
・東大の出来事:なけなしの冬休み
コマ数としてはSセメと変わらないものの、第二外国語は内容が高度化していて負担が増えていること、ALESS/Aという「テーマ決めから半年足らずで英語の小論文を書こう」的な授業があること、そして後期課程の授業をとっていたこともあり、明らかに負担は増えていた。薄々気づいていた自分の読みの浅はかさから目を逸らし続けていたが、セメスターも後半になり、内容の高度化や期末試験・課題に直面する運びとなった。大晦日までひたすら勉強していて、受験生だった1年前と何も変わっていないと思った。
1月
・世の中の出来事:トンガ噴火
・東大の出来事:試験
元日。だるい。頭が痛い。とりあえず熱を測る。38℃越え。ここでアレルギーだと思って楽観視していた昨晩のくしゃみと喉の違和感が伏線だったことを悟る。翌日。38.9℃。記憶にある限り39℃を超えたことがないため、タイ記録かもしれないが人生最高体温だと思って何故かテンションが上がる。そんなアホなことしか考える気力がない。新型コロナウイルスでもインフルエンザでも無かったのが幸いだが、究極の寝正月である。世間の人々が七草粥で胃を休める時、元日からお粥しか食べていなかった私はおせち料理が食べたくてたまらなかった。
体調が戻ってからも、本当にずっと寝ていたせいで落ちた体力は中々戻らない。オンラインで授業を完遂できるようになるまでも時間がかかったし、そこそこ遠いキャンパスに行くとなると通学がメインイベントとなってしまう。問題は迫り来る期末試験である。結果的に、一か八かで「試験勉強はせずに通学と試験時間に全ての体力を注ぐ」という強硬手段をとった。この時ほど時間割を詰め込んだ過去の自分を呪ったことはないが、日頃勉強していた自分には感謝した。
2月
・世の中の出来事:北京五輪、ロシア軍ウクライナ侵攻
・東大の出来事:春休み兼Wターム
試験を乗り越え、春休みと思いきや集中講義があるお決まりのパターンである。しかも今回は「Aセメスターの延長」ではなく「Wターム」という名前が立派についている。
そして我々も2年生になる準備をする。東大においては、自主留年の申告をしない限り自動的に2年に進級できるため、自分達の進級の準備をするというより「上クラ」として新入生を迎える準備をするのである。コロナ前は「オリ合宿」という上下クラスで宿泊に行く伝統があったが、去年はプレオリといって、駒場の教室内でレクリエーションをする行事のみであった。今年は「オリ旅行」として日帰りで学外のどこかには行くことができるのではないかということで、どのクラスも暗中模索で計画を立てている。
3月
・世の中の出来事:平和であってほしい
・東大の出来事:春休み兼Wターム、成績公開
成績公開があった。その結果によって、落とした単位を回収したり点数の平均を上げに行ったりと来年度の負担が大きく変わるため、心なしか皆Sセメスター時より緊張していた。その前日には一般入試の合格発表もあり、周囲でも「新2年生」と自己紹介する人が増えてきた。
これを以って東大の学部1年生の1年間はあらかた幕を閉じたといっても過言では無いだろう。良くも悪くもがむしゃらに駆け抜けてきた1年だったが、こうして振り返ってみると思ったより様々なことが起きていて、来年度にむけてまた一段と気が引き締まる思いだ。
◇◆◇―――――――――
4.最後に
―――――――――◆◇◆
最後までお付き合いいただきありがとうございました。平凡な東大生の1年はいかがでしたでしょうか。学部2年生になれば、東大特有の制度である進学選択(通称:進振り)もあります。今年度以上に自分の将来と向き合うことになりそうですが、ゆっくりと進んで行くことができればと思います。
世間では「天下の」と冠して称されることもある東大に対して、初めは「なんでも完璧にできる冷徹な天才」ばかりがいるものだと偏見を抱いて戦々恐々としていました。しかし実際のところ、天才集団であることには変わりないものの、その才はメディアで取り上げられている以上に多様性に溢れるものでした。メディアで神格化されようとも東大生だって所詮ただの人だし、得手不得手は誰にでもあります。人それぞれの得手によって他人の不得手をカバーしていこうという雰囲気は、あまり表には出てこない東大の特長の一つだと思いました。
思えば私がピアサポーターに認定されたのは11月。カレンダーを振り返ってみると、この4か月で思った以上に沢山の活動に携わってきました。イベントやアンケート調査の実施に向けたミーティング、ポスター作成など、並べてみるとあまり表に出ることはない縁の下の力持ちポジションを好んでいるところが私らしいです。入学当初にピアサポートルームに興味を持ってからそれとなく動向を追っていましたが、色々な活動があって何をしているのかいまいち掴めないというのが正直なところでした。ただ、実際にピアサポーターになった今、「何でも屋さん」のイメージはある意味で正解なのかなと感じています。東大生の学生生活をより良くするというゴールに対して、皆が得意なことを生かして様々なアプローチで取り組んでおり、その活動は想像より多岐にわたるものでした。
いまだに新入り気分が抜けませんが、年度最後にメルマガ執筆という大役を拝命し、ピアサポートルームの先達方に支えられながら試行錯誤しています。このメルマガが配信される頃にはきっと、私はまた一皮剥けたピアサポーターになっていることでしょう。メルマガ読者の皆様をはじめとして、ピアサポート活動をささやかに見守って、時には積極的に参加してくださる方々がいてこそ、こうしてピアサポーターは成長していけるのかなと思います。来年度もピアサポートルームの活動をどうぞよろしくお願いします。
最後になりましたが、来年度も皆様が自分らしく過ごせる1年でありますように。
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学部1年生ピアサポーターが振り返る2021年度
―――――★ぴあサポメルマガ3月号★
こんにちは。段々と寒さも和らぎ、春本番が近づいてきました。
春といえばみなさんは何を思い浮かべますか? 私は「変化」という言葉が真っ先に出てきます。1年前、期待と不安を胸に高校を卒業し、東大に入学した記憶が今でも鮮明に残っています。
さて、今回のメルマガは、そんな学部1年生のピアサポーターである私が、主観たっぷりでこの1年間を振り返ります。みなさんの学部1年生の頃と比べていただくのも良し、他人の日記を覗き見するような背徳感に浸りながら読むも良し。どうぞ最後までお付き合いください。
■目次■
1.初々しい東大生期(4月~7月)
2.課外活動も頑張る期(8月~11月)
3.がむしゃらに勉強期(12月~3月)
4.最後に
◇◆◇―――――――――
1.初々しい東大生期(4月~7月)
―――――――――◆◇◆
4月
・世の中の出来事:3度目の緊急事態宣言
・東大の出来事:入学式、新歓
3月中に諸手続きや健康診断があり、入学式よりも先に始まった授業。右も左も分からぬまま組んだ履修で授業に臨むも初週は全てオンラインで、“大学生になった”というより“高校生ではなくなった”という実感が強かった。
一方で、科類と第二外国語によって割り振られるクラスがあり、新2年生の同じクラス番号の人たち、通称「上クラ」が新入生の面倒をみる伝統に驚いた。新入生同士の仲を深めるオリエンテーションからクラス内の委員の決定、そして履修の組み方まで、上クラが手はずを整えてくれている。上級生が下級生の世話をするというのは、実に小学校ぶりのことであった。
5月
・世の中の出来事:緊急事態宣言延長
・東大の出来事:五月祭延期
大学の授業にも慣れてきた頃、第二外国語の授業が隔週対面になった。授業の前に集まったクラスメイト同士で、その日の小テスト範囲である語形変化の問題を出し合ったり、課題であった翻訳の疑問点を議論したりしている風景は、高校、ひいては中学校を想起させるものであった。オンライン授業の是非はさまざまなところで議論されているが、先生方のボタン一つで授業時間以外の学びを強制的に遮断してしまうシステムには問題があるように感じられた。
五月祭は、初めての学園祭である上にオンラインという制約があり、及び腰になりつつもクラスで準備をしていた。直前に発表された延期は残念な知らせではあったが、企画のタイプが準備していたものを公開するだけのものだったこと、更には学園祭を経験したことがないこともあり、突然延期となった実感があまり湧かなかったのも事実である。
6月
・世の中の出来事:緊急事態宣言解除
・東大の出来事:ターム科目試験、セメスター科目中間試験
第二外国語中間試験があった。東京大学の学生という身分になってからは初めての試験である。定期試験は入試のように順位をつけるのでなく学習状況を確認する意味合いが強いものであるから、そこまでの難易度にはならないと冷静に考えれば分かるのだが、要求されるレベル感が掴めずに四苦八苦していた。第二外国語を学び始めて2ヶ月が経とうかというところにもかかわらず、試験問題の半分はその言語での作文とあり、必死で勉強した。
緊急事態宣言が解除されたということもあり、中間レポートのために他学部の図書館に行ったり、目星をつけていた美術館に行ったり、好きな作家のサイン会に行ったりした。大学生活のリズムも掴め、徐々に大学外に目を向ける余裕が出てきた。
7月
・世の中の出来事:東京五輪開幕、4度目の緊急事態宣言
・東大の出来事:試験
賛否両論ある中で東京五輪が開幕した。電車でちらほらボランティアの制服を身に纏った人を見かけた。誘致が決まった頃は、大学受験でそれどころではないのだろうなと思っていた東京五輪が、異例の延期で大学生になった後にやってきたものだから変な感じがした。受験生の時に「浪人したら周りが大学生ではしゃぐ中勉強しなきゃいけないんだぞ」という冗談半分の脅し文句を聞かされていた私は、紆余曲折あって結局テレビ越しにしか五輪であることを感じられず、加えて大学の試験期間が被っていたことで必死に机にかじり付いており、なんとも皮肉なものだと思った。
◇◆◇―――――――――
2.課外活動も頑張る期(8月~11月)
―――――――――◆◇◆
8月
・世の中の出来事:五輪閉幕、パラリンピック開幕
・東大の出来事:夏休み
今までにない長さの夏休みが始まった。8月の最終週から2学期が始まる小学校に通っていた私は、中学に進学して8月いっぱい休みであることに喜んでいたのに、2ヶ月も休みがあると何をしていいか分からず不安になった。
とは言いつつ、確かに8月はまだSセメスターの延長のようであった。学部1年生の必修科目である初年次ゼミナール、通称「初ゼミ」のレポートの提出が8月の中頃であったし、集中講義と銘打って授業もまだいくつか残っていた。
そして私はこの間、1週間下がらない高熱に見舞われた。教員にレポートの締め切り延長をお願いするメールを送る際にはかなりプライドが邪魔をしたという裏話もあるのだが、何よりコロナ感染への恐怖につきまとわれた。元々不要不急の人との接触は避けていたし、状況からして濃厚接触の可能性もなかったのだが、感染が爆発している時期で万が一のことがあった。よりにもよってお盆期間中だったこともあり、発熱相談センターに電話しても一向に繋がらず、やっと繋がって教わった病院に電話をかけても受診できるのは早くて数日後ということで、連日報道されている医療の逼迫が現前した不安はえも言われぬものであった。結局陰性ではあったものの、大変な中でも丁寧に接してくださった保健所・医療従事者の優しさに救われ、頭が上がらない思いである。
9月
・世の中の出来事:緊急事態宣言延長
・東大の出来事:夏休み、成績公開、五月祭
Sセメスターの授業と課題を全て乗り越え、ようやく「休み」に入った。そして、Sセメスターの成績が発表された。東大生活の基本となるクールをひとまず1回経験したのではないか。入学当初抱いていた東大への畏れは、気づけば下火になっていた。
春に応募して選考に通っていた大学のプログラムの一環で、多様な立場で活躍されている方々に聞き取り調査を行った。地域から提示された課題に対して解決への道筋を提案すべく活動していたが、全てオンラインでの調査というコロナ禍ならではの困難があった。しかし高校生1人では中々できない規模の活動に、ようやく大学生としての自覚が出てきた。
更に、入学から約半年経って大学生活も軌道に乗ってきたというところで、休み期間中にアルバイトを始めた。また、日本にとどまらず様々な場所で大学生活を送る旧友とオンラインで近況報告をしたり、一人で博物館・美術館に足を運んだりと、「新しい生活様式」らしい夏休みだった。
10月
・世の中の出来事:岸田内閣発足、衆院選、ノーベル賞発表
・東大の出来事:授業開始
長くもあっという間だった夏休みが終わり、Aセメスターが始まった。Sセメスターの反省を生かして少しコマ数を減らすつもりだったが、時間割表を眺めていたら次から次へと興味が湧いてきてしまい、泣く泣く削ってやっとSセメスターと同じ数に落ち着いた。毎回対面のスポ身(身体運動・健康科学実習)、隔週対面の第二外国語、自分で選択した毎回対面のゼミ1つを除けばまだ全てオンラインだ。
駒場祭の準備も始まった。五月祭は大学にも慣れていない時期であまり積極的には関わらなかったが、駒場祭では複数の団体に所属した。原則オンラインということで、高校の文化祭で培った経験がそのまま役に立つわけではなく、企画段階でかなり頭を悩ませた。
この月に学生証をケースごと紛失し、届出先すら分からず友人の学生証ケースを見せてもらったり、在学証明書を発行して身分を証明すればいいと教わったり、大学サバイバル能力が上がった。無事に発見したが心底焦ったし、何より「カードに紛失時の説明が書いてあっても紛失に気づいた時点で時すでに遅し」という教訓を得、手元に帰ってきたその場で紛失しそうなカード類の注意を写真で記録した。
11月
・世の中の出来事:オミクロン株国内初確認
・東大の出来事:駒場祭
駒場祭が開催された。構内からの配信のためキャンパスに行ったが、祭りの期間中だというのに普段より閑散としているキャンパスはとても不気味だった。
19日には「ほぼ皆既」の部分月食があった。対面授業がある日だったため駒場キャンパスから眺めた。保育所の子供たちが先生に付き添われて出てきており、迎えに来た親御さんとも同じ場所で月を見ていた。曇り空に街の明るさも相まって決して良いとは言えない環境だったが、食の最大が近づくにつれ雲がはけ、歓声が上がった。
◇◆◇―――――――――
3.がむしゃらに勉強期(12月~3月)
―――――――――◆◇◆
12月
・世の中の出来事:日本の民間人初の宇宙旅行
・東大の出来事:なけなしの冬休み
コマ数としてはSセメと変わらないものの、第二外国語は内容が高度化していて負担が増えていること、ALESS/Aという「テーマ決めから半年足らずで英語の小論文を書こう」的な授業があること、そして後期課程の授業をとっていたこともあり、明らかに負担は増えていた。薄々気づいていた自分の読みの浅はかさから目を逸らし続けていたが、セメスターも後半になり、内容の高度化や期末試験・課題に直面する運びとなった。大晦日までひたすら勉強していて、受験生だった1年前と何も変わっていないと思った。
1月
・世の中の出来事:トンガ噴火
・東大の出来事:試験
元日。だるい。頭が痛い。とりあえず熱を測る。38℃越え。ここでアレルギーだと思って楽観視していた昨晩のくしゃみと喉の違和感が伏線だったことを悟る。翌日。38.9℃。記憶にある限り39℃を超えたことがないため、タイ記録かもしれないが人生最高体温だと思って何故かテンションが上がる。そんなアホなことしか考える気力がない。新型コロナウイルスでもインフルエンザでも無かったのが幸いだが、究極の寝正月である。世間の人々が七草粥で胃を休める時、元日からお粥しか食べていなかった私はおせち料理が食べたくてたまらなかった。
体調が戻ってからも、本当にずっと寝ていたせいで落ちた体力は中々戻らない。オンラインで授業を完遂できるようになるまでも時間がかかったし、そこそこ遠いキャンパスに行くとなると通学がメインイベントとなってしまう。問題は迫り来る期末試験である。結果的に、一か八かで「試験勉強はせずに通学と試験時間に全ての体力を注ぐ」という強硬手段をとった。この時ほど時間割を詰め込んだ過去の自分を呪ったことはないが、日頃勉強していた自分には感謝した。
2月
・世の中の出来事:北京五輪、ロシア軍ウクライナ侵攻
・東大の出来事:春休み兼Wターム
試験を乗り越え、春休みと思いきや集中講義があるお決まりのパターンである。しかも今回は「Aセメスターの延長」ではなく「Wターム」という名前が立派についている。
そして我々も2年生になる準備をする。東大においては、自主留年の申告をしない限り自動的に2年に進級できるため、自分達の進級の準備をするというより「上クラ」として新入生を迎える準備をするのである。コロナ前は「オリ合宿」という上下クラスで宿泊に行く伝統があったが、去年はプレオリといって、駒場の教室内でレクリエーションをする行事のみであった。今年は「オリ旅行」として日帰りで学外のどこかには行くことができるのではないかということで、どのクラスも暗中模索で計画を立てている。
3月
・世の中の出来事:平和であってほしい
・東大の出来事:春休み兼Wターム、成績公開
成績公開があった。その結果によって、落とした単位を回収したり点数の平均を上げに行ったりと来年度の負担が大きく変わるため、心なしか皆Sセメスター時より緊張していた。その前日には一般入試の合格発表もあり、周囲でも「新2年生」と自己紹介する人が増えてきた。
これを以って東大の学部1年生の1年間はあらかた幕を閉じたといっても過言では無いだろう。良くも悪くもがむしゃらに駆け抜けてきた1年だったが、こうして振り返ってみると思ったより様々なことが起きていて、来年度にむけてまた一段と気が引き締まる思いだ。
◇◆◇―――――――――
4.最後に
―――――――――◆◇◆
最後までお付き合いいただきありがとうございました。平凡な東大生の1年はいかがでしたでしょうか。学部2年生になれば、東大特有の制度である進学選択(通称:進振り)もあります。今年度以上に自分の将来と向き合うことになりそうですが、ゆっくりと進んで行くことができればと思います。
世間では「天下の」と冠して称されることもある東大に対して、初めは「なんでも完璧にできる冷徹な天才」ばかりがいるものだと偏見を抱いて戦々恐々としていました。しかし実際のところ、天才集団であることには変わりないものの、その才はメディアで取り上げられている以上に多様性に溢れるものでした。メディアで神格化されようとも東大生だって所詮ただの人だし、得手不得手は誰にでもあります。人それぞれの得手によって他人の不得手をカバーしていこうという雰囲気は、あまり表には出てこない東大の特長の一つだと思いました。
思えば私がピアサポーターに認定されたのは11月。カレンダーを振り返ってみると、この4か月で思った以上に沢山の活動に携わってきました。イベントやアンケート調査の実施に向けたミーティング、ポスター作成など、並べてみるとあまり表に出ることはない縁の下の力持ちポジションを好んでいるところが私らしいです。入学当初にピアサポートルームに興味を持ってからそれとなく動向を追っていましたが、色々な活動があって何をしているのかいまいち掴めないというのが正直なところでした。ただ、実際にピアサポーターになった今、「何でも屋さん」のイメージはある意味で正解なのかなと感じています。東大生の学生生活をより良くするというゴールに対して、皆が得意なことを生かして様々なアプローチで取り組んでおり、その活動は想像より多岐にわたるものでした。
いまだに新入り気分が抜けませんが、年度最後にメルマガ執筆という大役を拝命し、ピアサポートルームの先達方に支えられながら試行錯誤しています。このメルマガが配信される頃にはきっと、私はまた一皮剥けたピアサポーターになっていることでしょう。メルマガ読者の皆様をはじめとして、ピアサポート活動をささやかに見守って、時には積極的に参加してくださる方々がいてこそ、こうしてピアサポーターは成長していけるのかなと思います。来年度もピアサポートルームの活動をどうぞよろしくお願いします。
最後になりましたが、来年度も皆様が自分らしく過ごせる1年でありますように。
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