ぴあサポメルマガ2月号!
2017/02/28 (Tue) 21:30
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怒りを考えてみませんか
~つい、いらいらしてしまう人へ~
――――――★ぴあサポメルマガ2月号★
こんにちは。ぴあサポメルマガ2月号です。
今回のテーマは「善く怒る」。ともすると人間関係を壊してしまう「怒り」を、どうすればより生産的にできるのか、考えてみようと思います。
■目次■
1.よい怒りと悪い怒り?
2.自分自身ふりかえって
3.作品で怒りにふれる
4. さいごに・参考資料
◇◆◇――――――――――――
1. よい怒りと悪い怒り?
――――――――――――◆◇◆
「明日の神話」などの作品で有名な芸術家・岡本太郎が、こんなことを書いています。「言いたいことは、上には言えない。それを下の者にぶつけ、大義名分のように、目くじら立てて怒鳴ったりする。……それはただの腹いせ。憤りではない」。これを読んで、いくつかのセリフが、浮かんできます。「自分の立場を考えろ!」「何も知らないような奴が口出しするな!」「人の(=私の)迷惑を考えろ!」、「そんなこともできないのか!」などなど。これを私は「悪い怒り」と呼びたいと思います。個人攻撃であり、「黙らせる」ことが目的になってしまっている。幼児的な怒り、と言ってもよいでしょう。
それに対して、「よい怒り」は、創造に結びつく怒りです。先述の岡本太郎は、「人間として、人間に対する憤り。……見きわめれば見きわめるほど、怒りが深くなる。すると、怒りは、自分のスケールから離れて、豊かに、透明になるのだ」と言います。こうした怒りは、弱いものを攻撃する方向には向かわす、全く逆に、忘れ去られているもの、誰も気づかないものの価値を、何とかして表現したい、という、想像力になるというのです。
◇◆◇――――――――――――
2. 自分自身をふりかえって
――――――――――――◆◇◆
自分自身、かっとなりやすい性格をしており、やつあたりをすることもありましたし、今でもかっとなってしまうことはあります。しかし、よくよく考えてみないといけないのです。自分の今の怒りは、「黙らせるため」だったか、それとも「黙らされないため」だったか。たいていは前者になってしまい、そのたびごとに落ち込みます。しかし、ある日、ひどく怒られたとき、「自分が悪いんだ」とは思わずに「なんだよコイツ」とふと思ったことがあり、今この文章につながっています。みなさんはどうでしょう?どのように怒り、怒られましたか?
◇◆◇――――――――――――
3. 作品で怒りにふれる
――――――――――――◆◇◆
たとえばピカソの「ゲルニカ」は、ドイツ軍の空爆によって壊滅した村が題名になっており、あれがなければそんな小さな村のことなど忘れ去られていただろう、と言われています。偉大な作品は、絵であれ著作であれ、自分より大きなものへの怒りに貫かれていることがままあります。そうしたものを探して、味わってみてほしいと思います。目下の者に怒りをぶつける気など起きなくなり、むしろ怒りを創造の原動力にできる。そうするうちに、他者をもっと尊重できるようになっていくと思います。
それでも、「黙れ」と言って怒りたくなったら、まず「こちらが黙ろう」としてみるのはいかがでしょうか。自分の怒声に興奮してますます怒り(自分の鳴き声にびっくりする赤ちゃんのようですね)、相手の反応に気持ちが良くなってさらに怒ってしまいます。そういう怒りは、ほとんど「瞬間的に(immediately=「無媒介に」)」起こります。すぐに反応するのをやめ、いったん立ち止まって考え、「不正だ」「不当だ」と感じたことに対し、思考を「媒介にして」怒る。そういう経験を、積んでいきたいと思っています。
◇◆◇――――――――――――
4. さいごに・参考資料
――――――――――――◆◇◆
いかがでしたでしょうか。今回参考にしたのは、岡本太郎『美しく怒れ』(角川oneテーマ21、1996年)です(pp.4~6)。ほかにも、怒りを「不当に加えられた危害への反応」とし、単なる「嫌悪感」―これが、相手への攻撃的反応です―と区別するような哲学者もいます。自分が「不当だ」と感じた時こそ、自分がほんとうに信じ、訴えたいことは何なのか、考えるきっかけになると思います。
今後、大学で、「美しく怒る」人たちとお会いできれば、執筆者としてとても嬉しいです。ごきげんよう!
【筆者紹介】
教育学研究科のM1。日々、自分の勉強不足を痛感しながら、博士に行きたい気持ちと不安が入り混じって結局ことが進まない。前途多難。
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dcs-peer.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jpまでご意見ご感想をどしどしお寄せください!
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[URL]http://dcs.adm.u-tokyo.ac.jp/psr/
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怒りを考えてみませんか
~つい、いらいらしてしまう人へ~
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こんにちは。ぴあサポメルマガ2月号です。
今回のテーマは「善く怒る」。ともすると人間関係を壊してしまう「怒り」を、どうすればより生産的にできるのか、考えてみようと思います。
■目次■
1.よい怒りと悪い怒り?
2.自分自身ふりかえって
3.作品で怒りにふれる
4. さいごに・参考資料
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1. よい怒りと悪い怒り?
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「明日の神話」などの作品で有名な芸術家・岡本太郎が、こんなことを書いています。「言いたいことは、上には言えない。それを下の者にぶつけ、大義名分のように、目くじら立てて怒鳴ったりする。……それはただの腹いせ。憤りではない」。これを読んで、いくつかのセリフが、浮かんできます。「自分の立場を考えろ!」「何も知らないような奴が口出しするな!」「人の(=私の)迷惑を考えろ!」、「そんなこともできないのか!」などなど。これを私は「悪い怒り」と呼びたいと思います。個人攻撃であり、「黙らせる」ことが目的になってしまっている。幼児的な怒り、と言ってもよいでしょう。
それに対して、「よい怒り」は、創造に結びつく怒りです。先述の岡本太郎は、「人間として、人間に対する憤り。……見きわめれば見きわめるほど、怒りが深くなる。すると、怒りは、自分のスケールから離れて、豊かに、透明になるのだ」と言います。こうした怒りは、弱いものを攻撃する方向には向かわす、全く逆に、忘れ去られているもの、誰も気づかないものの価値を、何とかして表現したい、という、想像力になるというのです。
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2. 自分自身をふりかえって
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自分自身、かっとなりやすい性格をしており、やつあたりをすることもありましたし、今でもかっとなってしまうことはあります。しかし、よくよく考えてみないといけないのです。自分の今の怒りは、「黙らせるため」だったか、それとも「黙らされないため」だったか。たいていは前者になってしまい、そのたびごとに落ち込みます。しかし、ある日、ひどく怒られたとき、「自分が悪いんだ」とは思わずに「なんだよコイツ」とふと思ったことがあり、今この文章につながっています。みなさんはどうでしょう?どのように怒り、怒られましたか?
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3. 作品で怒りにふれる
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たとえばピカソの「ゲルニカ」は、ドイツ軍の空爆によって壊滅した村が題名になっており、あれがなければそんな小さな村のことなど忘れ去られていただろう、と言われています。偉大な作品は、絵であれ著作であれ、自分より大きなものへの怒りに貫かれていることがままあります。そうしたものを探して、味わってみてほしいと思います。目下の者に怒りをぶつける気など起きなくなり、むしろ怒りを創造の原動力にできる。そうするうちに、他者をもっと尊重できるようになっていくと思います。
それでも、「黙れ」と言って怒りたくなったら、まず「こちらが黙ろう」としてみるのはいかがでしょうか。自分の怒声に興奮してますます怒り(自分の鳴き声にびっくりする赤ちゃんのようですね)、相手の反応に気持ちが良くなってさらに怒ってしまいます。そういう怒りは、ほとんど「瞬間的に(immediately=「無媒介に」)」起こります。すぐに反応するのをやめ、いったん立ち止まって考え、「不正だ」「不当だ」と感じたことに対し、思考を「媒介にして」怒る。そういう経験を、積んでいきたいと思っています。
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4. さいごに・参考資料
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いかがでしたでしょうか。今回参考にしたのは、岡本太郎『美しく怒れ』(角川oneテーマ21、1996年)です(pp.4~6)。ほかにも、怒りを「不当に加えられた危害への反応」とし、単なる「嫌悪感」―これが、相手への攻撃的反応です―と区別するような哲学者もいます。自分が「不当だ」と感じた時こそ、自分がほんとうに信じ、訴えたいことは何なのか、考えるきっかけになると思います。
今後、大学で、「美しく怒る」人たちとお会いできれば、執筆者としてとても嬉しいです。ごきげんよう!
【筆者紹介】
教育学研究科のM1。日々、自分の勉強不足を痛感しながら、博士に行きたい気持ちと不安が入り混じって結局ことが進まない。前途多難。
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dcs-peer.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jpまでご意見ご感想をどしどしお寄せください!
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