ぴあサポメルマガ7月号【外国語学習の心構え】
2017/07/15 (Sat) 11:00
☆★☆―――――――――――――
新しく外国語をはじめる時の心構え
――――★ぴあサポメルマガ7月号★
夏学期も終わりに近づいていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今月のテーマは「新しく外国語をはじめる時の心構え」です。
第二外国語で(しかたなく)勉強している、内定先の学科で必要になった、その国の文化(文学に限らず、ポップカルチャーなどなんでも)に興味関心がある、なんとなく、など様々な理由で英語以外に外国語を新しく学んでいる方も多いかと思います。
そこで、こう考えておけば外国語学習が多少なりともスムーズに進むのでは、といった心構えをお話しします。(筆者の専門の都合上、主にヨーロッパの言語の話です。ご了承ください。)
■目次■
1.外国語≠英語
2.まずはそのまま受け入れてみよう
3.最後に
4.書籍紹介
◇◆◇――――――
1.外国語≠英語
――――――◆◇◆
まずこれが、英語以外の外国語を新しく始める上で何よりも重要な鉄則です。
「とりあえず 英語はいったん 忘れよう」
七五調で語呂が良いですね。これだけでも覚えてください。これさえ覚えてもらえば後は読まなくてもいいくらいです。
当たり前ですが、ドイツ語やフランス語は同じローマ字を使っていても、英語ではありません。にもかかわらず、最初の文字と発音の段階で既に英語読みになる人がちらほら見受けられます。それほどまでに私たちは中学高校の6年間で英語にどっぷり浸かってきたのです。
例えば、「ch」はそれぞれの言語でどう発音されるでしょうか?ドイツ語なら息の通り道を狭めて出す摩擦音の「フ」、フランス語なら上歯茎に舌を近づけて出す「シュ」、イタリア語ならchiで「キ」、cheで「ケ」と読みます。英語読みになっていないでしょうか?
英語はいったん忘れて、それぞれの言語での文字と発音のルールをまずはしっかりと身につけましょう。この時点で英語読みから脱け出せないと、文法学習でも英語に引きずられる可能性が高くなります。
韓国語など最初からローマ字を使っていない言語なら一から文字を覚えればいいだけですね。ただし、ロシア語の場合はローマ字と紛らわしいものが幾つかあるので注意しましょう。русский(「ロシアの」(形)、「ロシア語」(名)などの意)(るは巻き舌)です。間違っても「ピッキー」などと読まないように。
◇◆◇――――――――――――――
2.まずはそのまま受け入れてみよう
――――――――――――――◆◇◆
次に重要なのが、
「その言語のあるがままを受け入れる」 ことです。
文字と発音が終わり、文法に入ると、その言語ならではの文法事項が数多く出てきます。時には簡単には理解しがたいものもあるでしょう。名詞に性別がある、時制が多すぎる、格変化が多すぎる、接続法って何?等々。
しかしまずは、 「○○語ってそういうものなのか」 と、その言語のあるがままを素直に受け入れて、学習を進めてみましょう。学習を進めていくうちに、それぞれの文法事項の相互関係がつかめ、その言語全体の大枠が見えてくるようになります。
大枠が理解できたら、また個々の文法事項に立ち戻ればよいのです。言語は、様々な文法事項が複雑に関連して構成されているので、一つ一つの文法事項を順番に勉強していて分からないことが出てくるのはある意味当然のことであって、一通り学習して大枠をつかんだ後に復習することで理解できるようになることも多いのです。
ヨーロッパの言語を学ぶ上で、英語と比較対照するのが有効な場合もありますが、詳しく見てみると英語と違う場合がほとんどです。例えばドイツ語の現在完了は、作り方も用法も英語とは異なる場合が多いです。まずはその言語のあるがままを素直に受け入れることから始めましょう。
◇◆◇―――
3. 最後に
―――◆◇◆
「英語以外」の外国語に話を絞ってみましたが、いかがだったでしょうか?外国語学習はそれなりに時間のかかる、長い長い道のりです(筆者はかれこれ7、8年ほどロシア語を勉強していますが未だによく分からない所が多々あります)。
しかも、学習の最初ほどつまづくポイントが多く、挫折しやすいのも確かです。外国語の勉強は、自分とは全く異質のものを自分のものにしようとする一種の「格闘」ですから、難しくて時間がかかるのは当たり前、くらいに開き直ったほうが気楽に学習を続けられます。
どうか、外国語学習をやめずに続けてください。
◇◆◇――――
4.書籍紹介
―――――◆◇◆
●千野栄一『外国語上達法』、岩波新書、1986年。
外国語学習法の定番。学習の目的、語彙、文法など具体的な学習方法がしっかり書かれています。
Amazonリンク:http://amzn.asia/15ftonx
●黒田龍之助『語学はやり直せる!』、角川oneテーマ21、2008年。
これも学習法について。外国語を始めたいが怖い、一度始めたが挫折した、と言う方におすすめ。
Amazonリンク:http://amzn.asia/932CDNC
●黒田龍之助『ポケットいっぱいの外国語』、講談社、2007年。
外国語にまつわるエッセイ集。多種多様な外国語が登場し、外国語の楽しさにあふれています。
Amazonリンク:http://amzn.asia/hk5kFuj
【筆者紹介】
異邦人:文学部言語文化学科スラヴ語スラヴ文学専修4年。中学でロシア語を、高校でフランス語を独学し、大学入学後もドイツ語、ポーランド語、セルビア・クロアチア語など様々な外国語を食い散らかして遊んでいる。独文・仏文・現代文芸論など様々な研究室の授業に出没するが、本業はあくまで「ロシア文学」ということらしい。
★ピアサポートルームからのお知らせ★
◎7/21(金)にぴあサポランチを開催します
ぴあサポランチは、学生同士がお昼ごはんを食べながら気軽にお話しできる場です。ぜひいらしてください!
日時:7/21(金) 12:10~12:50 ※予約不要、途中参加・早抜け歓迎
場所:本郷キャンパス学生支援センターモール階 ピアサポートルーム(御殿下の半地下のエリア奥です。黄色いのぼりが目印です。)
詳細はこちらから:http://ut-psr.net/2017/07/10/pslunch7/
◎ピアサポートルームのWebサイト&Twitterができました!
活動カレンダーや活動内容が載っています。ぜひアクセス&フォローしてください!
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第二外国語で(しかたなく)勉強している、内定先の学科で必要になった、その国の文化(文学に限らず、ポップカルチャーなどなんでも)に興味関心がある、なんとなく、など様々な理由で英語以外に外国語を新しく学んでいる方も多いかと思います。
そこで、こう考えておけば外国語学習が多少なりともスムーズに進むのでは、といった心構えをお話しします。(筆者の専門の都合上、主にヨーロッパの言語の話です。ご了承ください。)
■目次■
1.外国語≠英語
2.まずはそのまま受け入れてみよう
3.最後に
4.書籍紹介
◇◆◇――――――
1.外国語≠英語
――――――◆◇◆
まずこれが、英語以外の外国語を新しく始める上で何よりも重要な鉄則です。
「とりあえず 英語はいったん 忘れよう」
七五調で語呂が良いですね。これだけでも覚えてください。これさえ覚えてもらえば後は読まなくてもいいくらいです。
当たり前ですが、ドイツ語やフランス語は同じローマ字を使っていても、英語ではありません。にもかかわらず、最初の文字と発音の段階で既に英語読みになる人がちらほら見受けられます。それほどまでに私たちは中学高校の6年間で英語にどっぷり浸かってきたのです。
例えば、「ch」はそれぞれの言語でどう発音されるでしょうか?ドイツ語なら息の通り道を狭めて出す摩擦音の「フ」、フランス語なら上歯茎に舌を近づけて出す「シュ」、イタリア語ならchiで「キ」、cheで「ケ」と読みます。英語読みになっていないでしょうか?
英語はいったん忘れて、それぞれの言語での文字と発音のルールをまずはしっかりと身につけましょう。この時点で英語読みから脱け出せないと、文法学習でも英語に引きずられる可能性が高くなります。
韓国語など最初からローマ字を使っていない言語なら一から文字を覚えればいいだけですね。ただし、ロシア語の場合はローマ字と紛らわしいものが幾つかあるので注意しましょう。русский(「ロシアの」(形)、「ロシア語」(名)などの意)(るは巻き舌)です。間違っても「ピッキー」などと読まないように。
◇◆◇――――――――――――――
2.まずはそのまま受け入れてみよう
――――――――――――――◆◇◆
次に重要なのが、
「その言語のあるがままを受け入れる」 ことです。
文字と発音が終わり、文法に入ると、その言語ならではの文法事項が数多く出てきます。時には簡単には理解しがたいものもあるでしょう。名詞に性別がある、時制が多すぎる、格変化が多すぎる、接続法って何?等々。
しかしまずは、 「○○語ってそういうものなのか」 と、その言語のあるがままを素直に受け入れて、学習を進めてみましょう。学習を進めていくうちに、それぞれの文法事項の相互関係がつかめ、その言語全体の大枠が見えてくるようになります。
大枠が理解できたら、また個々の文法事項に立ち戻ればよいのです。言語は、様々な文法事項が複雑に関連して構成されているので、一つ一つの文法事項を順番に勉強していて分からないことが出てくるのはある意味当然のことであって、一通り学習して大枠をつかんだ後に復習することで理解できるようになることも多いのです。
ヨーロッパの言語を学ぶ上で、英語と比較対照するのが有効な場合もありますが、詳しく見てみると英語と違う場合がほとんどです。例えばドイツ語の現在完了は、作り方も用法も英語とは異なる場合が多いです。まずはその言語のあるがままを素直に受け入れることから始めましょう。
◇◆◇―――
3. 最後に
―――◆◇◆
「英語以外」の外国語に話を絞ってみましたが、いかがだったでしょうか?外国語学習はそれなりに時間のかかる、長い長い道のりです(筆者はかれこれ7、8年ほどロシア語を勉強していますが未だによく分からない所が多々あります)。
しかも、学習の最初ほどつまづくポイントが多く、挫折しやすいのも確かです。外国語の勉強は、自分とは全く異質のものを自分のものにしようとする一種の「格闘」ですから、難しくて時間がかかるのは当たり前、くらいに開き直ったほうが気楽に学習を続けられます。
どうか、外国語学習をやめずに続けてください。
◇◆◇――――
4.書籍紹介
―――――◆◇◆
●千野栄一『外国語上達法』、岩波新書、1986年。
外国語学習法の定番。学習の目的、語彙、文法など具体的な学習方法がしっかり書かれています。
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●黒田龍之助『語学はやり直せる!』、角川oneテーマ21、2008年。
これも学習法について。外国語を始めたいが怖い、一度始めたが挫折した、と言う方におすすめ。
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●黒田龍之助『ポケットいっぱいの外国語』、講談社、2007年。
外国語にまつわるエッセイ集。多種多様な外国語が登場し、外国語の楽しさにあふれています。
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【筆者紹介】
異邦人:文学部言語文化学科スラヴ語スラヴ文学専修4年。中学でロシア語を、高校でフランス語を独学し、大学入学後もドイツ語、ポーランド語、セルビア・クロアチア語など様々な外国語を食い散らかして遊んでいる。独文・仏文・現代文芸論など様々な研究室の授業に出没するが、本業はあくまで「ロシア文学」ということらしい。
★ピアサポートルームからのお知らせ★
◎7/21(金)にぴあサポランチを開催します
ぴあサポランチは、学生同士がお昼ごはんを食べながら気軽にお話しできる場です。ぜひいらしてください!
日時:7/21(金) 12:10~12:50 ※予約不要、途中参加・早抜け歓迎
場所:本郷キャンパス学生支援センターモール階 ピアサポートルーム(御殿下の半地下のエリア奥です。黄色いのぼりが目印です。)
詳細はこちらから:http://ut-psr.net/2017/07/10/pslunch7/
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