ぴあさぽメルマガ8月号【論文執筆を健康に乗り切る~夏の間に、心の準備を~】
2018/08/28 (Tue) 13:06
☆★☆―――――――――――――――
論文執筆を健康に乗り切る
~夏の間に、心の準備を~
―――――★ぴあサポメルマガ8月号★
暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
卒論や修論を執筆するみなさまは、「夏までに情報収集を終わらせて執筆に取りかかりたい」「就活・院試が終わったからやっと論文に集中できる」など、様々な思いではないでしょうか。
確かに、論文執筆は大変なものです。追い込み時期の体調急変への注意を促す張り紙を学内で見つけることもあるように、心身ともに健康でいることは質の高い論文を書くためにも重要なこと。
そこで今回は、学問的な方法論ではなく(それは分野によって異なります)、そろそろ執筆を意識するこの時期から気をつけておいたほうがいいと思われることを、卒論・修論を執筆した大学院生としての経験をまじえて考えていきたいと思います。
■目次■
1.したいことは夏休みにやってしまう
2.自分の性格を見極めたスケジューリングを
3.体調を整え、ポジティブに
◇◆◇―――――――――
1.したいことは夏休みにやってしまう
―――――――――◆◇◆
これには二つの意味があります。まず、「追い込みの時期にはできないから夏にやる」。もう一つは、「我慢せずにやってしまう」。我慢をしてしまうと、未練を引きずってしまい、論文にも身が入らないばかりか、たまの気分転換も難しくなってしまいます。「夏休みは○○を楽しむ」と決めるのも一つの考え方かもしれません。
この「本人がもう十分だと思うまでやったら離れるのも簡単になる」という考え方をあるゼミの先生は「お腹いっぱい理論」と呼んでいました。心理学者の河合隼雄氏は「本当に離れるためには、一度どっぷりつかることが必要である」と述べています。
ただもちろん、つかりすぎには気をつけてくださいね。授業が始まるくらいには気持ちを論文に向けたほうがいいでしょう。
◇◆◇―――――――
2.自分の性格を見極めたスケジューリングを
―――――――◆◇◆
いくつもレポートを書いていると、自分の文章執筆の傾向のようなものがだいぶ見えてきます。私の場合は「長期間毎日書くのは苦にならないが、書き始めるまでが長く、一日に書けるのはだいたい1000字、多くても2000字程度」というものでした。
ということは、修論が80000字以内だとして約70日かかり、2週間ほど余裕を持ちたいと考えると、締め切り3ヶ月前には執筆を始めればおそらく間に合うだろうという計算をしていました。そして、それまでは情報収集や内容考察に徹し、書き出しを含めた論文の方向性を考えていました。
実際には、10月半ばに書きはじめ、考えながら書き、書きながら考え……を繰り返しながら、クリスマスごろには終わらせて、年明けから見直しを開始して1/9(〆切は10日)に提出という形だったと思います。
書きあがった直後は、達成感と疲労で、また経験も生々しいので、自分の書いたものを批判的に見られません。多少の間違いや飛躍でも読み飛ばしてしまいがちです。少し余裕を持ったスケジューリングをしましょう。
私とは逆に、「短時間で多くの分量を執筆できるが、方向修正したり長期間書き続けたりするのは苦手」という性格の人は、情報収集や内容を考えるための時間を多くとって、準備万端で一気に書くのがよいでしょう。
自分のペースを知っておくことで、友人の進み具合や指導教員に言われたことに対してもあまり焦りを感じずに済むようになるのではないでしょうか。
◇◆◇――――――――
3.体調を整え、ポジティブに
――――――――◆◇◆
はじめに書いたように、健康管理は非常に重要です。運動する余裕はないし、長時間本やPCに向かっているため姿勢も悪くなってしまいがち。追い込みの時期に寒くなって動かなくなってくると、よりストレスもたまってしまいます。
そこでお勧めなのは、「その場でできるストレッチ」。説明するよりは本やネットで実際に見た方がわかりやすいので、ぜひ調べてみてください。体の調子がよくなるだけで、研究にも身が入りますよ。すぐには効果が出ないので、寒くなる前に少しずつどうぞ。
大事なことは、月並みですが「ポジティブな態度を保つ」こと。うまくいかないときに、ネガティブになったり、不機嫌になったりするのは簡単です。ところが、そうした気分では生産的なことはできないですし、研究室の仲間たちにも不快な思いをさせてしまうかもしれません。
提出後、私の指導教員はまず「書きたいこと書けた?」と尋ねました。研究に「精緻さ」「新しさ」が重要であることは確かですが、「自分が本当に考えたいことなのか」もまた重要ということなのでしょう。
別の先生が、学位授与のときに「私が気をつけていたのは、破壊の言葉を口にしないこと」と言っていました。気をつけないとついついそうした言葉を発してしまうもの。負の感情を研究・研究室(場所・人間関係)に持ち込まず、我慢できないときは外で出しましょう。学内の相談機関で聴いてもらうこともできます。
皆様が楽しく論文執筆ができることを願っています。
【参考資料】
河合隼雄『こころの処方箋』(新潮文庫、1998年)
ハンディな本を1日数ページずつ読む、というのもおすすめです。
【著者紹介】
教育学研究科博士課程1年。思想研究をしているが関心がよく変わる。
大学院に入ってから「持ってきたご飯を学科のレンジで温め、電気ケトルにレトルト食品を入れて温める」という昼食パターンを確立。誤植を見つけるのが得意。
【ピアサポートルームのWebサイト/Twitterの紹介】
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東京大学学生相談ネットワーク本部ピアサポートルーム
[WEB] http://dcs.adm.u-tokyo.ac.jp/psr/
[学生の作るWEBサイト] http://ut-psr.net/
[Email] mail@utpsr.net [Tel] 03-5841-2632
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論文執筆を健康に乗り切る
~夏の間に、心の準備を~
―――――★ぴあサポメルマガ8月号★
暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
卒論や修論を執筆するみなさまは、「夏までに情報収集を終わらせて執筆に取りかかりたい」「就活・院試が終わったからやっと論文に集中できる」など、様々な思いではないでしょうか。
確かに、論文執筆は大変なものです。追い込み時期の体調急変への注意を促す張り紙を学内で見つけることもあるように、心身ともに健康でいることは質の高い論文を書くためにも重要なこと。
そこで今回は、学問的な方法論ではなく(それは分野によって異なります)、そろそろ執筆を意識するこの時期から気をつけておいたほうがいいと思われることを、卒論・修論を執筆した大学院生としての経験をまじえて考えていきたいと思います。
■目次■
1.したいことは夏休みにやってしまう
2.自分の性格を見極めたスケジューリングを
3.体調を整え、ポジティブに
◇◆◇―――――――――
1.したいことは夏休みにやってしまう
―――――――――◆◇◆
これには二つの意味があります。まず、「追い込みの時期にはできないから夏にやる」。もう一つは、「我慢せずにやってしまう」。我慢をしてしまうと、未練を引きずってしまい、論文にも身が入らないばかりか、たまの気分転換も難しくなってしまいます。「夏休みは○○を楽しむ」と決めるのも一つの考え方かもしれません。
この「本人がもう十分だと思うまでやったら離れるのも簡単になる」という考え方をあるゼミの先生は「お腹いっぱい理論」と呼んでいました。心理学者の河合隼雄氏は「本当に離れるためには、一度どっぷりつかることが必要である」と述べています。
ただもちろん、つかりすぎには気をつけてくださいね。授業が始まるくらいには気持ちを論文に向けたほうがいいでしょう。
◇◆◇―――――――
2.自分の性格を見極めたスケジューリングを
―――――――◆◇◆
いくつもレポートを書いていると、自分の文章執筆の傾向のようなものがだいぶ見えてきます。私の場合は「長期間毎日書くのは苦にならないが、書き始めるまでが長く、一日に書けるのはだいたい1000字、多くても2000字程度」というものでした。
ということは、修論が80000字以内だとして約70日かかり、2週間ほど余裕を持ちたいと考えると、締め切り3ヶ月前には執筆を始めればおそらく間に合うだろうという計算をしていました。そして、それまでは情報収集や内容考察に徹し、書き出しを含めた論文の方向性を考えていました。
実際には、10月半ばに書きはじめ、考えながら書き、書きながら考え……を繰り返しながら、クリスマスごろには終わらせて、年明けから見直しを開始して1/9(〆切は10日)に提出という形だったと思います。
書きあがった直後は、達成感と疲労で、また経験も生々しいので、自分の書いたものを批判的に見られません。多少の間違いや飛躍でも読み飛ばしてしまいがちです。少し余裕を持ったスケジューリングをしましょう。
私とは逆に、「短時間で多くの分量を執筆できるが、方向修正したり長期間書き続けたりするのは苦手」という性格の人は、情報収集や内容を考えるための時間を多くとって、準備万端で一気に書くのがよいでしょう。
自分のペースを知っておくことで、友人の進み具合や指導教員に言われたことに対してもあまり焦りを感じずに済むようになるのではないでしょうか。
◇◆◇――――――――
3.体調を整え、ポジティブに
――――――――◆◇◆
はじめに書いたように、健康管理は非常に重要です。運動する余裕はないし、長時間本やPCに向かっているため姿勢も悪くなってしまいがち。追い込みの時期に寒くなって動かなくなってくると、よりストレスもたまってしまいます。
そこでお勧めなのは、「その場でできるストレッチ」。説明するよりは本やネットで実際に見た方がわかりやすいので、ぜひ調べてみてください。体の調子がよくなるだけで、研究にも身が入りますよ。すぐには効果が出ないので、寒くなる前に少しずつどうぞ。
大事なことは、月並みですが「ポジティブな態度を保つ」こと。うまくいかないときに、ネガティブになったり、不機嫌になったりするのは簡単です。ところが、そうした気分では生産的なことはできないですし、研究室の仲間たちにも不快な思いをさせてしまうかもしれません。
提出後、私の指導教員はまず「書きたいこと書けた?」と尋ねました。研究に「精緻さ」「新しさ」が重要であることは確かですが、「自分が本当に考えたいことなのか」もまた重要ということなのでしょう。
別の先生が、学位授与のときに「私が気をつけていたのは、破壊の言葉を口にしないこと」と言っていました。気をつけないとついついそうした言葉を発してしまうもの。負の感情を研究・研究室(場所・人間関係)に持ち込まず、我慢できないときは外で出しましょう。学内の相談機関で聴いてもらうこともできます。
皆様が楽しく論文執筆ができることを願っています。
【参考資料】
河合隼雄『こころの処方箋』(新潮文庫、1998年)
ハンディな本を1日数ページずつ読む、というのもおすすめです。
【著者紹介】
教育学研究科博士課程1年。思想研究をしているが関心がよく変わる。
大学院に入ってから「持ってきたご飯を学科のレンジで温め、電気ケトルにレトルト食品を入れて温める」という昼食パターンを確立。誤植を見つけるのが得意。
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