ぴあサポメルマガ9月号【認知行動モデルによる整理法 ~自分の考え方のクセに気付く~】
2018/09/26 (Wed) 18:12
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認知行動モデルによる整理法
~自分の考え方のクセに気付く~
―――――★ぴあサポメルマガ9月号★
夏休みが終わり、Aセメスターが始まった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。夏が終わり、雨が続き、だんだんと寒くなり始めるこの時期、久しぶりの学校が始まったこともあり、なんとなく暗い気持ちになってしまう人も多いのではないでしょうか。
学校だけでなく、バイト、進路、恋愛などなど人生において悩みは尽きません。ふとした悩みでも、いつの間にか自分の中で大きく膨れ上がり、いろんなことが手につかなくなる、そんな経験を誰もがしたことがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、「認知行動モデル」と呼ばれる、我々の内部で起こっている相互作用のモデルとそれに基づく問題解決法を紹介することで、読者の皆様が少しでも悩みから解放されるお手伝いができたらと考えています。
■目次■
1. 認知行動モデルとは?
2. 悩みの正体は4つの要素の悪循環!?
3. 思考を変えて悪循環を断ち切ろう!
◇◆◇―――――――――
1. 認知行動モデルとは?
―――――――――◆◇◆
認知行動モデルとは、ある状況で個人の1.「思考」2.「行動」3.「気分」4.「身体反応」の4つの要素が繋がり、影響し合っていると考えるモデルです。実際にこのモデルに基づき、「認知行動療法(CBT)」と呼ばれる心理療法がうつ病や統合失調症に対しての治療として実践されています。
ここで1つ例を見てみましょう。【山の中で熊に出会った】という状況のとき、上記の4つの要素はどのようなものが考えられるでしょうか。例えば、
1. 思考…どうしよう!食べられる!
2. 行動…叫ぶ、逃げる
3. 気分…怖い、不安
4. 身体の反応…ドキドキ、震え
のようなものが考えられます。自分の内部で起こっていることを4つの要素に分けることで、整理することができます。
◇◆◇―――――――
2. 悩みの正体は4つの要素の悪循環!?
―――――――◆◇◆
より現実に起こりうるケースとして、【サークルの仕事でミスをしてしまい、先輩に怒られた】という状況を考えてみましょう。この時の4つの要素としては、
1. 思考…自分はダメだ、愛想をつかされた
2. 行動…サークルの仕事が手につかなくなる
3. 気分…不安、悲しい、暗い
4. 身体の反応…胃が痛くなる
のようなものが考えられます。ここで大事なのは、この4つの要素はそれぞれ繋がり、影響し合っているということです。不安で悲しくなれば、しなくてはならない仕事も手につかなくなりますし、そうすると余計に「自分はダメだ」と思うようになってしまいます。その中で余計に暗い気分になり…と「負の循環」に陥ってしまうのです。
問題や悩みとはまさに「4つの要素のつながりに悪循環が生じている状態」だと考えることができ、思考や行動を変えて悪循環を断ち切ることで、問題の解決を目指すことができます。
◇◆◇――――――――
3. 思考を変えて悪循環を断ち切ろう!
――――――――◆◇◆
ここで、認知行動療法の代表的な技法である「認知再構成法」によって問題の解決を目指しましょう!
「認知再構成法」とは、気分と思考のつながりに注目し、客観的な事実の検討や可能性のあるいくつもの思考を取り入れることで、視野を広げ、自分の思考に変化を起こすアプローチのことです。ネガティブ思考だったり、極端に飛躍した結論を出してしまったり、物事に白黒をつけてしまいがちだったり、人は誰も「考え方のクセ」を持っています。そのクセに気付き、考え方を変えるだけで気分を楽にしたり、ストレスを改善することができるのです。
例えば上の【先輩に怒られた】例、ここでの思考は「自分はダメだ、愛想をつかされた」となっていますが、他の考え方もあるのではないでしょうか。「怒ってくれるほど、期待されている」、「次を頑張れば、評価してもらえる」、「苦手な仕事を克服するチャンス」、「そこまで深く落ち込むことでもない」など、いろいろな考え方が思い浮かびます。今起こっている状況だけを見つめて、客観的に思考を考えてみたり、他の人の思考を聞いてみたりすると、視野がグンと広がります。考え得るたくさんの思考の中で確信度が高く、かつ少しでも自分の気持ちが楽になる思考を選ぶことで、気分も変わり、自分の中の悪循環を断ち切ることができるのです。
このように、認知行動モデルを理解し、自分の思考をちょっと変えるだけで、悪循環を断ち切り、悩みを解決に導くことができます。今回の記事での「思考」は「自動思考」を指していて、その背景には「スキーマ」と呼ばれる個人個人の信念などが関わっています。もちろん今回紹介した「認知再構成法」は認知行動療法の技法の1つでしかありませんし、そのほかにもいくつものアプローチがあります。認知行動療法ついてより深く知りたい・学びたい人は、参考文献も載せておきますので、ぜひ調べてみて下さい。このメルマガが、皆様の悩みに対するセルフケアの助けになることを願っております。
原稿を作成するにあたり、このメルマガを書くきっかけとなる講義をして下さった今村幸太郎先生(医学系研究科 公共健康医学専攻 精神保健学分野 特任講師)に参考文献や講義資料のご紹介とご指導をいただきました。本当にありがとうございました。
【参考文献】
清水栄司(監修) (2010)『認知行動療法のすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)』講談社.
【著者紹介】
医学部健康総合科学科3年。メンタルヘルス、看護学を勉強中。ダイバーシティ&インクルージョンに関心があり、「誰1人取り残さない」世界を目指す「EMPOWER Project」を進めています。よかったらHP(http://empowerproject.jp)見てください!
【ピアサポートルームのWebサイト/Twitterの紹介】
活動カレンダーや活動内容が載っています。ぜひアクセス&フォローしてください!
☆Webサイト:http://ut-psr.net/
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【ご意見、ご感想をお待ちしています】
みなさまの声をお待ちしております。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdZTkoPn5fyhqNADtsDYzM6bWWSJs2HseQO0gK6DpH0QGWwxg/viewform?c=0&w=1までご意見ご感想をどしどしお寄せください
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東京大学学生相談ネットワーク本部ピアサポートルーム
[WEB] http://dcs.adm.u-tokyo.ac.jp/psr/
[学生の作るWEBサイト] http://ut-psr.net/
[Email] mail@utpsr.net [Tel] 03-5841-2632
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認知行動モデルによる整理法
~自分の考え方のクセに気付く~
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夏休みが終わり、Aセメスターが始まった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。夏が終わり、雨が続き、だんだんと寒くなり始めるこの時期、久しぶりの学校が始まったこともあり、なんとなく暗い気持ちになってしまう人も多いのではないでしょうか。
学校だけでなく、バイト、進路、恋愛などなど人生において悩みは尽きません。ふとした悩みでも、いつの間にか自分の中で大きく膨れ上がり、いろんなことが手につかなくなる、そんな経験を誰もがしたことがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、「認知行動モデル」と呼ばれる、我々の内部で起こっている相互作用のモデルとそれに基づく問題解決法を紹介することで、読者の皆様が少しでも悩みから解放されるお手伝いができたらと考えています。
■目次■
1. 認知行動モデルとは?
2. 悩みの正体は4つの要素の悪循環!?
3. 思考を変えて悪循環を断ち切ろう!
◇◆◇―――――――――
1. 認知行動モデルとは?
―――――――――◆◇◆
認知行動モデルとは、ある状況で個人の1.「思考」2.「行動」3.「気分」4.「身体反応」の4つの要素が繋がり、影響し合っていると考えるモデルです。実際にこのモデルに基づき、「認知行動療法(CBT)」と呼ばれる心理療法がうつ病や統合失調症に対しての治療として実践されています。
ここで1つ例を見てみましょう。【山の中で熊に出会った】という状況のとき、上記の4つの要素はどのようなものが考えられるでしょうか。例えば、
1. 思考…どうしよう!食べられる!
2. 行動…叫ぶ、逃げる
3. 気分…怖い、不安
4. 身体の反応…ドキドキ、震え
のようなものが考えられます。自分の内部で起こっていることを4つの要素に分けることで、整理することができます。
◇◆◇―――――――
2. 悩みの正体は4つの要素の悪循環!?
―――――――◆◇◆
より現実に起こりうるケースとして、【サークルの仕事でミスをしてしまい、先輩に怒られた】という状況を考えてみましょう。この時の4つの要素としては、
1. 思考…自分はダメだ、愛想をつかされた
2. 行動…サークルの仕事が手につかなくなる
3. 気分…不安、悲しい、暗い
4. 身体の反応…胃が痛くなる
のようなものが考えられます。ここで大事なのは、この4つの要素はそれぞれ繋がり、影響し合っているということです。不安で悲しくなれば、しなくてはならない仕事も手につかなくなりますし、そうすると余計に「自分はダメだ」と思うようになってしまいます。その中で余計に暗い気分になり…と「負の循環」に陥ってしまうのです。
問題や悩みとはまさに「4つの要素のつながりに悪循環が生じている状態」だと考えることができ、思考や行動を変えて悪循環を断ち切ることで、問題の解決を目指すことができます。
◇◆◇――――――――
3. 思考を変えて悪循環を断ち切ろう!
――――――――◆◇◆
ここで、認知行動療法の代表的な技法である「認知再構成法」によって問題の解決を目指しましょう!
「認知再構成法」とは、気分と思考のつながりに注目し、客観的な事実の検討や可能性のあるいくつもの思考を取り入れることで、視野を広げ、自分の思考に変化を起こすアプローチのことです。ネガティブ思考だったり、極端に飛躍した結論を出してしまったり、物事に白黒をつけてしまいがちだったり、人は誰も「考え方のクセ」を持っています。そのクセに気付き、考え方を変えるだけで気分を楽にしたり、ストレスを改善することができるのです。
例えば上の【先輩に怒られた】例、ここでの思考は「自分はダメだ、愛想をつかされた」となっていますが、他の考え方もあるのではないでしょうか。「怒ってくれるほど、期待されている」、「次を頑張れば、評価してもらえる」、「苦手な仕事を克服するチャンス」、「そこまで深く落ち込むことでもない」など、いろいろな考え方が思い浮かびます。今起こっている状況だけを見つめて、客観的に思考を考えてみたり、他の人の思考を聞いてみたりすると、視野がグンと広がります。考え得るたくさんの思考の中で確信度が高く、かつ少しでも自分の気持ちが楽になる思考を選ぶことで、気分も変わり、自分の中の悪循環を断ち切ることができるのです。
このように、認知行動モデルを理解し、自分の思考をちょっと変えるだけで、悪循環を断ち切り、悩みを解決に導くことができます。今回の記事での「思考」は「自動思考」を指していて、その背景には「スキーマ」と呼ばれる個人個人の信念などが関わっています。もちろん今回紹介した「認知再構成法」は認知行動療法の技法の1つでしかありませんし、そのほかにもいくつものアプローチがあります。認知行動療法ついてより深く知りたい・学びたい人は、参考文献も載せておきますので、ぜひ調べてみて下さい。このメルマガが、皆様の悩みに対するセルフケアの助けになることを願っております。
原稿を作成するにあたり、このメルマガを書くきっかけとなる講義をして下さった今村幸太郎先生(医学系研究科 公共健康医学専攻 精神保健学分野 特任講師)に参考文献や講義資料のご紹介とご指導をいただきました。本当にありがとうございました。
【参考文献】
清水栄司(監修) (2010)『認知行動療法のすべてがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)』講談社.
【著者紹介】
医学部健康総合科学科3年。メンタルヘルス、看護学を勉強中。ダイバーシティ&インクルージョンに関心があり、「誰1人取り残さない」世界を目指す「EMPOWER Project」を進めています。よかったらHP(http://empowerproject.jp)見てください!
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