ぴあサポメルマガ8月号~「聞くのが難しい」と感じたら ~相手の話が理解できない時の対処法~~
2019/08/31 (Sat) 12:40
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「聞くのが難しい」と感じたら
~相手の話が理解できない時の対処法~
―――――★ぴあサポメルマガ8月号★
突然ですが、人は一日のうちに何人くらいの人と話すのでしょうか?
研究室に引きこもっている筆者でさえ、平均すると10人くらいとは言葉を交わしている感じがします。学部やサークル、アルバイトなどのコミュニティを掛け持ちしている人なら、その数は何倍にもなることでしょう。
私たちは普段多くの人と情報交換をしながら生きています。誰かの話を聞いている時にふと、じっと聞いているのが辛いと思ってしまうことはないでしょうか。
人間は話したがりな生き物でもあり、色々な状況下で「聞く」ことが負担に感じる時があるようです。そんな時、どう自分や相手と向き合えばいいかを考えてみたいと思います。
■目次■
1.まずは自分の心の声を聞こう
2.集中できない原因
3.自分がどうしたいかを考えてみる
4.さいごに
◇◆◇―――――――――
1、まずは自分の心の声を聞こう
―――――――――◆◇◆
素直に聞けない、頭に入ってこないような話をわざわざ聞いているのには、何かしら背景的な理由があることが多いのではないでしょうか。
サークルやゼミの付き合いのように半強制的なこともあるでしょうし、他に聞きたい話がある、関係を深めたい、などの理由で主体的に付き合っているというケースもあるでしょう。
こういう時、遠慮しがちな人ほど事情を汲み取り、自分が感じている窮屈さに気づきにくくなってしまいがちだと思います。
人の話を聞いているのに何か気乗りがしない、話が入ってこないと感じたら、まずはそんな自分の心をわかってあげることが大切です。
◇◆◇―――――――
2.集中できない原因
―――――――◆◇◆
自分が窮屈な思いをしているとわかっても、即座に会話を打ち切るには早いです。まずは、一歩引いて原因が何かを考えてみましょう。
例えば次のような時には、話の内容が入ってこなかったり、興味を持てなかったりということがあるのではないでしょうか。
(1)相手の求めているものがわからない
話している人が何を求めているのかわからずに話を聞いていると、とても気を使います。
例えば、他人の悪口や愚痴、あるいは自慢話などをされている時、聞き手は事情を知らないことが多く、ただ頷いて聞いていればいいのか、具体的な意見やアドバイスが求められているのかさえもわからなくなりがちです。
「この人結局どうしたいの」などと否定的な気持ちが湧いても、表立っては快く聞いている振りをすることもあります。(特に愚痴や悪口を言う相手なら、きちんと聞かなければ自分も悪く言われるのでは、と焦って余計に気を使ってしまうかもしれません。)
(2)純粋に話の内容を理解できない・興味を持てない
知らないことや自分と関係のないことには理解が及ばず、興味も持てないケースがあります。
この場合、自分から相手に質問を投げて話を広げるのはとてもハードルが高いのですが、かといって表面的な相槌を打って興味を持っているよう見せるのも疲れるし、虚しいですよね。話に入っていけない自分にも非があるのでは、と思ってしまうこともあるかもしれません。
(3)実は自分の状況や心理状態が芳しくない
普段ならすんなり聞き入るような話でも、自分が別のことに追われていたり、偶然嫌な気分になっていたりすると、無意識のうちに思考が阻害された状態になります。緊張している時ほど内容が入ってこないのはこれに近いと思います。
厄介なのは、その原因を自覚できない時です。当然ながら相手側に原因があるわけではないため、一度話の内容から距離をおいて、自分の近況や心の状態を振り返ってみることが大切です。
◇◆◇――――――――
3.自分がどうしたいかを考えてみる
――――――――◆◇◆
その上で、会話を続けるのか続けないのか、その目的は何かを考え直してみると良いかもしれません。目的別に対処例を挙げてみます。
(1)続ける:相手との関係を保ちたいとき
親しい友達との会話なら心配いりませんが、仕事上の付き合いであったり、自分の世界を広げるため専門外のコミュニティで一から関係を作るときなどは、話を聞くだけでも緊張することがありますよね。
こういう時には、あえて相手に等身大の自分を伝えておくことが有効かもしれません。たとえば、「初心者なので」「少し気分が優れず集中が切れやすいのですが」など前置きをして、自分にハンデがあることを明確にしておくのです。事情がわかる分、相手も安心して話せますし、素直な人だという信頼も得やすくなります。
(2)続ける:話の内容を理解したい
知らないことを吸収したいときや、仕事などで話の内容を理解すべきときもあります。
全てを理解するのは難しくても、わかるところは頷き、わからないところはその場で質問するというようなメリハリをつけることはできるのではないでしょうか。関係性とタイミングにもよりますが、少し話を遮ってでも質問するのは真面目に聞いている証拠ですし、それほど心象の悪いことではないと思います。(もちろん、教えてもらったあとでお礼も忘れずに!)
(3)続けないorやり過ごす
愚痴や自慢話などは特にそうですが、内容やタイミングによっては精神的に余裕を持って聞けない時もあると思います。
そのような判断をしたら、可能なら相手にも伝えた方がいいでしょう。もちろん、一方的に相手のせいにするのではなく、あくまで「その話は今の自分にとって負担が大きい」という旨を伝えるのです。
しかし関係性や話の内容によっては、それが難しいこともあります。その時には、最低限無礼にならないよう相槌をしつつ、聞き流すのも一つの手です。話に引き込まれないよう、心の中では距離をとっている、というイメージを持つと良いでしょう。相手が「ちゃんと聞いている?」「どう思った?」と聞いてきたら、「聞いているよ」「今すぐにはわからないかな」などと曖昧な返事を返しても不自然ではありません。こちらが過度に頷いたり話を合わせたりすることなく聞いていれば、少し気乗りしないことを話し手が察してくれるかもしれません。話が止んだタイミングで、可能なら別の話題にすり替えたり、トイレに行くふりをして席を立ったりするといいでしょう。
◇◆◇――――
4.さいごに
―――――◆◇◆
話を聞けない・聞きたくないと思うこと自体は悪いことではなく、人間関係を広げていく中で誰もが持ちうる感情です。逆に自分が話し手の立場になった時にも、相手がどう思っているかという不安も湧いてくるでしょう。
誰かと信頼関係を作っていく上で、話したり聞いたりすることは重要です。しかし不安や緊張を感じたとしても、そのことで自分を責めたり、過度に取り繕ったりする必要はないと思います。色々な人との適度な距離感を見つけていく中で、安心して話をできる関係を見つけていけたらいいですよね。
【参考書籍・WEBサイト】
水島広子 『誰と一緒でも疲れない「聞き方・話し方」のコツ』
東山紘久 『プロカウンセラーの聞く技術』
【筆者紹介】
工学系研究科修士2年。人の話を聞くのは好きだけど、集中するのには少し苦労する。誰とでも肩肘張らず、自然体で話せる人には少し憧れている部分がある。
【ピアサポートルームのWebサイト/Twitterの紹介】
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【ご意見、ご感想をお待ちしています】
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東京大学学生相談ネットワーク本部ピアサポートルーム
[WEB] http://dcs.adm.u-tokyo.ac.jp/psr/
[学生の作るWEBサイト] http://ut-psr.net/
[Email] mail@utpsr.net [Tel] 03-5841-2632
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「聞くのが難しい」と感じたら
~相手の話が理解できない時の対処法~
―――――★ぴあサポメルマガ8月号★
突然ですが、人は一日のうちに何人くらいの人と話すのでしょうか?
研究室に引きこもっている筆者でさえ、平均すると10人くらいとは言葉を交わしている感じがします。学部やサークル、アルバイトなどのコミュニティを掛け持ちしている人なら、その数は何倍にもなることでしょう。
私たちは普段多くの人と情報交換をしながら生きています。誰かの話を聞いている時にふと、じっと聞いているのが辛いと思ってしまうことはないでしょうか。
人間は話したがりな生き物でもあり、色々な状況下で「聞く」ことが負担に感じる時があるようです。そんな時、どう自分や相手と向き合えばいいかを考えてみたいと思います。
■目次■
1.まずは自分の心の声を聞こう
2.集中できない原因
3.自分がどうしたいかを考えてみる
4.さいごに
◇◆◇―――――――――
1、まずは自分の心の声を聞こう
―――――――――◆◇◆
素直に聞けない、頭に入ってこないような話をわざわざ聞いているのには、何かしら背景的な理由があることが多いのではないでしょうか。
サークルやゼミの付き合いのように半強制的なこともあるでしょうし、他に聞きたい話がある、関係を深めたい、などの理由で主体的に付き合っているというケースもあるでしょう。
こういう時、遠慮しがちな人ほど事情を汲み取り、自分が感じている窮屈さに気づきにくくなってしまいがちだと思います。
人の話を聞いているのに何か気乗りがしない、話が入ってこないと感じたら、まずはそんな自分の心をわかってあげることが大切です。
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2.集中できない原因
―――――――◆◇◆
自分が窮屈な思いをしているとわかっても、即座に会話を打ち切るには早いです。まずは、一歩引いて原因が何かを考えてみましょう。
例えば次のような時には、話の内容が入ってこなかったり、興味を持てなかったりということがあるのではないでしょうか。
(1)相手の求めているものがわからない
話している人が何を求めているのかわからずに話を聞いていると、とても気を使います。
例えば、他人の悪口や愚痴、あるいは自慢話などをされている時、聞き手は事情を知らないことが多く、ただ頷いて聞いていればいいのか、具体的な意見やアドバイスが求められているのかさえもわからなくなりがちです。
「この人結局どうしたいの」などと否定的な気持ちが湧いても、表立っては快く聞いている振りをすることもあります。(特に愚痴や悪口を言う相手なら、きちんと聞かなければ自分も悪く言われるのでは、と焦って余計に気を使ってしまうかもしれません。)
(2)純粋に話の内容を理解できない・興味を持てない
知らないことや自分と関係のないことには理解が及ばず、興味も持てないケースがあります。
この場合、自分から相手に質問を投げて話を広げるのはとてもハードルが高いのですが、かといって表面的な相槌を打って興味を持っているよう見せるのも疲れるし、虚しいですよね。話に入っていけない自分にも非があるのでは、と思ってしまうこともあるかもしれません。
(3)実は自分の状況や心理状態が芳しくない
普段ならすんなり聞き入るような話でも、自分が別のことに追われていたり、偶然嫌な気分になっていたりすると、無意識のうちに思考が阻害された状態になります。緊張している時ほど内容が入ってこないのはこれに近いと思います。
厄介なのは、その原因を自覚できない時です。当然ながら相手側に原因があるわけではないため、一度話の内容から距離をおいて、自分の近況や心の状態を振り返ってみることが大切です。
◇◆◇――――――――
3.自分がどうしたいかを考えてみる
――――――――◆◇◆
その上で、会話を続けるのか続けないのか、その目的は何かを考え直してみると良いかもしれません。目的別に対処例を挙げてみます。
(1)続ける:相手との関係を保ちたいとき
親しい友達との会話なら心配いりませんが、仕事上の付き合いであったり、自分の世界を広げるため専門外のコミュニティで一から関係を作るときなどは、話を聞くだけでも緊張することがありますよね。
こういう時には、あえて相手に等身大の自分を伝えておくことが有効かもしれません。たとえば、「初心者なので」「少し気分が優れず集中が切れやすいのですが」など前置きをして、自分にハンデがあることを明確にしておくのです。事情がわかる分、相手も安心して話せますし、素直な人だという信頼も得やすくなります。
(2)続ける:話の内容を理解したい
知らないことを吸収したいときや、仕事などで話の内容を理解すべきときもあります。
全てを理解するのは難しくても、わかるところは頷き、わからないところはその場で質問するというようなメリハリをつけることはできるのではないでしょうか。関係性とタイミングにもよりますが、少し話を遮ってでも質問するのは真面目に聞いている証拠ですし、それほど心象の悪いことではないと思います。(もちろん、教えてもらったあとでお礼も忘れずに!)
(3)続けないorやり過ごす
愚痴や自慢話などは特にそうですが、内容やタイミングによっては精神的に余裕を持って聞けない時もあると思います。
そのような判断をしたら、可能なら相手にも伝えた方がいいでしょう。もちろん、一方的に相手のせいにするのではなく、あくまで「その話は今の自分にとって負担が大きい」という旨を伝えるのです。
しかし関係性や話の内容によっては、それが難しいこともあります。その時には、最低限無礼にならないよう相槌をしつつ、聞き流すのも一つの手です。話に引き込まれないよう、心の中では距離をとっている、というイメージを持つと良いでしょう。相手が「ちゃんと聞いている?」「どう思った?」と聞いてきたら、「聞いているよ」「今すぐにはわからないかな」などと曖昧な返事を返しても不自然ではありません。こちらが過度に頷いたり話を合わせたりすることなく聞いていれば、少し気乗りしないことを話し手が察してくれるかもしれません。話が止んだタイミングで、可能なら別の話題にすり替えたり、トイレに行くふりをして席を立ったりするといいでしょう。
◇◆◇――――
4.さいごに
―――――◆◇◆
話を聞けない・聞きたくないと思うこと自体は悪いことではなく、人間関係を広げていく中で誰もが持ちうる感情です。逆に自分が話し手の立場になった時にも、相手がどう思っているかという不安も湧いてくるでしょう。
誰かと信頼関係を作っていく上で、話したり聞いたりすることは重要です。しかし不安や緊張を感じたとしても、そのことで自分を責めたり、過度に取り繕ったりする必要はないと思います。色々な人との適度な距離感を見つけていく中で、安心して話をできる関係を見つけていけたらいいですよね。
【参考書籍・WEBサイト】
水島広子 『誰と一緒でも疲れない「聞き方・話し方」のコツ』
東山紘久 『プロカウンセラーの聞く技術』
【筆者紹介】
工学系研究科修士2年。人の話を聞くのは好きだけど、集中するのには少し苦労する。誰とでも肩肘張らず、自然体で話せる人には少し憧れている部分がある。
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